2019年04月07日

デスクトップの有様はその人の生き様そのもの

今回は映画「サーチ(Search)」をレンタルで見たので、その感想を書こうかと思います。
この映画、どこかで予告を見て以来、非常に気になってた映画でした。

とにかく、PCのデスクトップ画面をただひたすら映しているだけで物語が進行していくという非常に斬新な、そしていかにも現在のネットSNS時代を象徴するような内容で、これは凄く面白そうだな、とすぐに思えたからです。
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c 2018 Sony Pictures Worldwide Acquisitions Inc. All Rights Reserved.

ただ、斬新とは言いましたが、これより以前にPC画面を映しているだけでストーリーが進行していく映画と言うのは実はもう既にあって、アンフレンデッドというオカルトホラーが最初と言われてます。
この映画はネトフリで見たのですが、チャットルームに死んだはずの友達のアカウントが入ってきて、次々とおかしなことが起こり始めるという言わば密室ホラー物です。
確かにこの映画の見せ方も凄く斬新と言えば斬新な映画なんですけど、そこで描かれていることは非リアルな内容で、そして密室ホラー映画なら何度も見飽きたような展開そのままなんで、「うん、まーいつものB級ホラーだなあ」程度の感想しか残りませんでした。

で、この「サーチ」ですが、こちらはあるアジア系アメリカ人の家族の物語で、ある日突然娘と連絡が取れなくなってしまった父が、PC上で様々なツールを介して行方を追っていく、というミステリーサスペンスになっています。
なおアジア人家族が主人公ですが、監督はインド系の人で、舞台はアメリカのハリウッド映画です。


とにかくまずこの映画、出だしが秀逸です。
当然この映画も終始PCのデスクトップ画面を見せていくのですが、家族の現在に至るまでのあらすじを、PC上に思い出を残したりスケジュール管理をするという作業を見せることで、しっかり説明しているところが凄い。
何というかもう、マイクロソフトやアップルが「これであなたの人生を紡いでいこう」みたいな感じでCMでやりそうな内容でもあり、「あーあるわーこんな感じ」って思わせるところも面白いですね。
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あとは、音信不通になってしまった娘を心配した父親が、残された娘のPCを手掛かりにあれこれ情報を検索していくという話なのですが、ビデオチャットなどで相手と話すシーンが大半とはいえ、娘の情報を探るため、色々検索したり、娘のFacebook等の履歴をチェックしたりと、色々PC上で作業するシーンも多く、ここが特に面白い、と思えたところでした。

いわば、鍵となりそうなヒントを見つけるまでの過程を追体験で見ているような感覚に近く、それは言ってみればYoutubeでゲーム実況を見ている感覚に近いのかもしれません。
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また、この話では当然誘拐などの可能性もあるので、警察もガッツリ絡む話に発展し、担当刑事と共に事件を追っていくという展開も個人的には斬新に思えました。この手のミステリーサスペンス物になると、怖さを演出するために当事者が単独で乗り込んでいく話になりがちで、それが凄く現実味が薄れる行為なので、そうじゃない展開なのは凄くリアル路線になってて良いと思いました。

そしてミステリーとしての完成度も高く、私は正直オチは読めなかったので非常に楽しめました。徐々に父親が自分の知らない娘の姿などの驚愕の事実を知る過程はよくある展開とは言え、それをSNS等の情報から得るというのも、この映画らしい展開ですね。
また、ニュース映像や、監視カメラ映像などを介して物語を伝える手法も使われていますが、これも一応PC上の動画配信サイトやPCツールから見ている、という体になっており、かろうじてコンセプトから外れないようにはなってます。まあ若干強引ではありますけどね。
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とにかくPC上の画面で展開する物語、という特異性を最大限に発揮した映画で、アンフレンデッドがやり切れていなかった表現をも実に見事にやってのけた映画だと思います。
これはアンフレンデッドにもあった演出ですが、書き込もうとした内容を、一旦考えたのちに削除して入れなおす、というシーンが度々あり、これは「SNSあるある」で誰もがやった事があると思いますが、映画サーチでは、微妙な親子関係をこれを使って表現しており、実に巧みに使ってるな、と思いました。

父親が娘にとても依存してて、ちょっと暴走気味なのは、人によっては若干引いてしまいそうですが、それもまた、映画の展開がどうなってしまうのか、という一抹の不安感に一役買っており、まあ私は自然に見れましたね。
というか父親ならこれくらい取り乱して当然、という感はありますから。
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先にも話しましたが、ミステリーとしての出来も秀逸で、徐々に新事実が明らかになっていく過程や伏線が回収されていくのも見事でしたし、デスクトップ画面のみという展開の割には画面内はめまぐるしく変化があり、全く退屈せずに見ることが出来ました。
なんでも監督はシャマラン監督のファンであるらしいのですが、シャマラン監督とのテイストとは違うでしょうけど、なんか微妙に近い息吹はあるような気はしましたね。

まあとにかく見て損は無い満足度の高い映画でした。非常にお薦めです。
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ところで、ブレア・ウィッチ・プロジェクト等で一躍注目を浴びたPOV方式の撮影法はあっという間に広まりましたが、このPC画面のみの撮影法もまた、そんな新たな演出法として広まるのでしょうか。

流石に見た目の感じがほぼ一緒になるので個性が出しにくく、ちょっと難しいかもしれませんけど、例えばゲーム画面とか、それを中心とした映画とか、なんか成り立ちそうじゃないでしょうか。
オンラインゲームを題材にした作品は結構あるけど、終始そのゲーム画面をそのまんま表現して物語を展開したものはまだないんじゃないですかね。例えばゲーム実況者を主人公にするとか。
もうそうなっていくと、普通にインタラクティブなゲームと境目が無くなってややこしい事になりそうですが・・・・。

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posted by KS(Koumei Satou) at 23:27 | Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年03月31日

気付けば休日が終わってる(絶望)

私、Netflixと契約し月額料を払ってます。
以前に料金が値上げしてしまいましたが、解約することなく、楽しませてもらってます。
正直なところ、毎月800円分払って見るほど毎日見まくっているかと言うとそんなことなくて、ひょっとしたら過剰に払ってることになってない?みたいな月もあるにせよ、
ふっと気付くとシリーズを一気見してしまったり、コンテンツをがっつり視聴しまくってしまう日もあるのでまあ、元は取れてるかな、と思ってます。

実際、Netflix、中々侮れません。とにかくオリジナルコンテンツの量や質も非常に高い上に、アニメや映画も沢山あり一度見だすとついつい一日中見てしまう事もあるので、気が付きゃ寝る時間になり「うわーしまったやらかした」と思う事も(爆
特に私が一押しなのが吹き替え対応のコンテンツが非常に多い事で、だいたいオススメとして先頭に並んでくるコンテンツのほとんどは大体吹き替え対応されてますし、字幕で見るのが辛い私のような人間には非常に助かってます。
他のHuluとかのサービスがどれくらいの割合で吹き替え対応されてるのか知りませんが、恐らくNetflixが一番多いでしょうね。
例えばスカパーとか、そういう海外のコンテンツを多く扱うサービスで不満なのが「でも結局ほとんど字幕でしか見れないしなあ」だったので、数ある動画配信サービスでNetflixを選んだ理由はコレが大きいです。

Netflixのお薦めのシリーズやアニメ、映画は色々あるのですが、最近ドキュメント系のコンテンツも面白くて良く見ます。
大体アニメや映画は良く紹介されているところは見ますが、ドキュメント系のコンテンツをレビューしているところはあんまり見かけないので、今回は面白かったNetflixオリジナルのドキュメント作品を3つ、軽く紹介しようと思います。

映画とかが世に出るまでの裏話や生まれるまでの経緯を追ったドキュメントは良くありますが、子供時代に皆が手に取ったであろう「おもちゃ」がいかにして生まれたかに焦点を当てたドキュメントというのは、意外とありそうでなかった話題で、面白い所に目を付けたなーというのが第一印象。
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現在2シーズンで4エピソードずつ、計8エピソード出ていますが、スターウォーズやスタートレックなど、作品の関連グッズとして登場したおもちゃや、トランスフォーマーやレゴなど、オリジナルの企画から生まれた物まで、とにかく有名なおもちゃの誕生秘話を扱っています。
全体的にちょっと軽いノリのテイストで、ジョークを交えながらポップな雰囲気のドキュメントですが、ふざけた内容ではなく、内容的にはかなり真面目におもちゃの歴史を追っています。

特に一押しなのがトランスフォーマー回で、今やマイケル・ベイ監督による映画シリーズが有名ですが、元はと言えば日本の玩具メーカーが販売していた変形合体ロボが始まりであることは、ファンであれば周知の事実。ここではその経緯をしっかり追って、それを海外で展開するためにどのような戦略が取られていったかをテンポよく紹介していきます。
なので、日本のタカラ社の取材もちゃんとあって、「へーそういう流れがあったんだ」って非常に興味深かったです。
最後はちょっと日本人として誇らしくてウルっと来ました。日本人ならこの回は是非とも見ていただきたいです。
それ以外にもレゴやスタートレック回とか凄く面白かったです。スタートレックがスターウォーズの影で苦戦してたとかは「なるほど確かにそうだよなあ」とか思ったり。
マスターズシリーズは日本人にはあまり馴染みはないけど、かつてドルフ・ラングレン主演で映画もやってたので我々オッサン世代にはちょっと懐かしかったです。
日本人的にはハローキティ回もあるのでここも必見。

ポルトガルにバカンスで来ていた英国夫妻の娘がホテルで突如失踪してしまった事件を追ったドキュメント。
幼女が失踪する事件と言うと、日本ではジョンベネちゃん事件は度々報道されていたので知ってる人は多いと思いますけど、失礼ながらこの事件は正直知りませんでした。
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ヨーロッパでは非常に大きく扱われた超有名な事件らしいのですが、恐らくほとんど日本では報道されてないんじゃないでしょうかね。
2007年に起き、未だ未解決の事件です。そのため最終的にモヤモヤ感が残るのは承知の上で見たのですが、非常に興味深く見させてもらいました。

全8エピソード、事件が起きるまでの経緯から、現在に至るまでの捜査状況を、取り巻く人たちのインタビューを交えながら時系列で詳細に追った内容の為、全く事件を知らない私のような人間でも非常に分かりやすい展開で有難かったです。
犯人は誰か?という疑いの目が、徐々に切り替わり、その度に当事者が大変な目にあっていくのですが、「まあその流れになるよなあ」と思いつつ、いつの時代もマスコミの報道が一個人を執拗に追い詰めるよなーと憤りも感じます。

この事件では途中からネットの影響力も出始めるので、時代の流れも感じ、件の夫妻も大変だったろうというのは想像に難くありません。
最終的に答えは出ないものの、「恐らくこれで間違いないのではないか」という所までは行き、それは非常に説得力がありました。
マデリンちゃん自身は死体も発見されていないため、未だ生死すら不明です。逆にいうと未だどこかで生きている可能性はあるので、その小さなチャンスが身を結ぶと良いですね。

2017年に開催される「はずだった」ファイア・フェステバルという言うなればロック・フェスにまつわるドキュメンタリー。
日本ではあまり話題にはなりませんでしたが、これに関するドキュメントはHuluでも独自コンテンツとして制作されており、2大配信サービスが同時に扱ったことで話題を呼びました。
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それだけ海外ではSNSも巻き込んで大騒動に発展した事件だったようです。
残念ながら字幕のみのコンテンツでしたが、この事件は遠く聞き及んでいたので興味があり、今回興味深く見させてもらいました。
元々FYREとは、登録アーティストをイベント主催者側が簡単にブッキング出来るようにした企業向けアプリで、これを大々的に宣伝するために、バハマの孤島で豪華なロックフェスをやろうと企画されたのがファイア・フェスの始まりでした。

まああとはこのドキュメントや、ネットで経緯を調べればわかりますが、とんでもない大事件へと発展していきます。「何でだれも止めなかったのか」とは思わず思ってしまうけど、全員が成功を信じて突っ走った結果、結局ダメだった、という事でしょうか。
でも見た感じ、どう考えても失敗するとしか思えないので、沢山の人が忠告してるのだけど、結局それを押し通したトップの人間の判断力と決断力の甘さが要因かなあ、と思いました。
そのトップの実業家本人のインタビューはありませんが、多くの関係者から話を聞いており、かなり堅実に作られたドキュメントです。
沢山のSNSのインフルエンサーを巻き込んだ事件だったため、彼らが常に記録に残すので当時の映像も結構残っており、時代を感じますね。

劇中、現地を良く知るスタッフの一人が、初期の段階でこのフェスの無謀さを訴え猛反対しますが、解雇されてしまいます。この企画の失敗は、この時点で決まってたんだな、とは個人的に感じるところがありますね。都合の良い人間ばかり集めるとどういう事になるか、というのは言わずもがな。
色々反面教師になる事があるとは思うのだけど、正直そのどれもが昔から良く言われてるような基本的な事なので、人はなぜ過ちを繰り返すのか、という意味では実に興味深い騒動だったと思います。


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posted by KS(Koumei Satou) at 22:07 | Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月11日

子供心に良くあるありきたりな物に見えてました

ブレードランナー2049をレンタルで見たので、今回はこの映画の感想を書こうと思います。

まあこの映画の話が出たときは目を疑いましたね。SF映画の中でも極めて影響力がデカいエポックメイキングな作品の筆頭であり、この映画がもたらしたムーブメントや世界観の影響力と言ったら、この映画が無かったらこの先の○○は無かったなんてものが膨大にありすぎてもはや神格化しているレベルなので、それだけにウルサ型のマニアが大勢いるのは当然で、作られたところで絶対ファンに受け入れられるわけがない、というのが戦う前から分かっているのですから。

でも何を間違ったか出てきてしまった続編。流石に前作を見たのもだいぶ前だったので、これを見る前に前作を見て予習しておきましたよ。というわけで万全の体制をもって挑んでみましたが。

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c 2017 Alcon Entertainment, LLC. All Rights Reserved


まず、感想を書く前に言っておかねばならない事があります。私はSF映画の大ファンであり、沢山のSF映画を見てきました。フェバイリットな映画も多くあります。そんな中で、前作の「ブレードランナー」は、実はそんなに個人的には気にいっている映画ではありません。
確かに、ハードSF感満載の設定とシナリオ、ディストピアな未来像に、のちに大きな影響を与えることとなる「サイバーパンク」なる圧倒的なビジュアルによる世界観は、後世に残るほどの物だという事に異論はありません。見事という他ないです。
しかし、自分の好きなSF映画ランキング、という物をもしリストアップするって事になった場合、間違いなくこのブレードランナーはトップ10のランク外に追いやられます。
その最大の理由は、やはりこの映画最大のウリである「サイバーパンク」というものにあるのでしょう。要するに私、あんまりこのサイバーパンクという世界観にピンと来なかった人間なんですよね。

私はどちらかというと、無駄な物を一切省いたシンプルなもの、例えば2001年宇宙の旅とかトロンとか、そっちの路線の方が好きなので、ゴチャゴチャといろんなものがごった煮となったカオスな世界観は、当時からしてもむしろ現実社会に割とリアルにつながっている感があって、それだけにありきたりに見えてしまい、あんまりそこにファンタジーやロマンを感じることが出来なかったのだろうと思います。

当時最初に見たときは、主人公のデッカードに全く見せ場が無く全然ヒロイックに描かれていなかったがために、ラストも何とも煮え切らない終わり方をしてしまったので、「・・・なんだこれ?」って困惑した覚えがあります。
いまでこそ、この切ない物語の終息の仕方は充分アリだと思えますが、どっちにしても相当マニアックな映画だったことは事実でしょう。


というわけで、そんなに強い思い入れがあるわけではないというスタンスで見ることになった今回の続編。
とは言え監督のヴィルヌーヴ氏はここでも以前紹介した映画「メッセージ」のメガホンを取っている人なため、そういう意味ではどう料理しているのか興味はありました。
そして勿論ここまで神格化した映画の続編がどうなるのか、についても単純に気になるところではありますよね。

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人造人間であるレプリカントのテロ行為により世界が一度リセットされるような大惨事が起きたことで、タイレル社製レプリカントの製造は禁止に追いやられる。
しかしそれから十数年後、問題を克服したレプリカントが生まれ、再び製造が開始される。
その新型のレプリカントである一人、通称"K"はテロを引き起こした旧式のネクサス8型を解任する仕事を請け負っていた。つまりはブレードランナーである。

そんな彼のいつもの業務中にあるものが発見され、そこから物語は意外な方向へと発展していく。


まず見て思ったことですが、当然ながら前作ありきの作品になっているため、とにかくどのバージョンでもいいのでなにかしら前作をちゃんと見ていないと、全く話についていけないと思いました。
そういう意味では最初から万人向けには作られておらず、元々マニアックなカルト作品なので、そういう方向性は間違っていなかったでしょうね。なので前作を予習しておいて正解でした。

更に言えば、レプリカントとか、そういったSF設定もある程度理解していないともう何のコッチャになるので、考察や解説とかを読んである程度の理解が必要になるかもですね。前作の時点で、そういったSF知識は最低限持った状態で見てますよね?前提で話が進んでいくようなフシがあったので、実は軽い気持ちで見るべき映画ではないのかもしれません。

そんなわけで非常に窓口が狭い状態のマニアックな映画、興行収入があまり振るわなかったと伝えられていますが、前作の時点でそうだったので、そういう意味ではまさに順当な続編という事になるのでしょうか。
つまりそれは、何もかもがうまくいっていない駄作、という事ではなく、こだわりを尊重するあまりエンタメ性を度外視したカルトムービーという意味合いが強いわけで、前作も本作も結局はその路線を歩んだんだな、と思わせました。
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個人的には非常に画面やビジュアルにこだわりがあり、SF映画としては非常に楽しめた作品でした。少なくとも駄作などといったレベルのゴミには成り下がっておらず、非常に健闘した作品だと思います。なにしろ、絶対負け戦になるに決まっている、っていう最低ラインのスタートだったわけですから。


ただ、この映画をファン達が好意的に受け止めたかどうかは疑問が残ります。ブレードランナーの世界観を踏襲した忠実な映画であることは間違いないのですが、それにしては前作にあった「ゴチャゴチャしたカオス感」が希薄に感じたからです。
この点は色々他の所でも考察されていますが、恐らくあえてここは一緒にはしなかったようで、どちらかというとスッキリとした、洗練されたデザインが目を引く絵作りになっているようでした。
ただ、個人的にはこういうデザインの方が好みなので、悪い気はしませんでしたけどね。でも、ブレードランナーといえばあのカオス感、というのは私もそう思うので、やっぱりどうしても前作に比べておとなしめに感じてしまうのは致し方ない部分もありますね。
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でもこのカオス感を意図的に出すのは難しいですね。最近では攻殻機動隊もハリウッドで映画化されてましたが、ここでのサイバーパンクもなんというか凄く嘘っぽく感じるもので、あまりカオス感は出てない印象でした。

実際の所、こういったサイバーパンクが描いていた未来社会の時代にとっくに突入してしまった現代では、いまとなっては存在しないファンタジーの世界になってしまったわけで、「きっとこうなっていくだろう」という予測をもとに描いていた前作に対し、今では「元がこう描いていたので、こういう描き方になるだろう」という発想にしかならず、どうしても画面からくる説得力の部分で差異が来てしまうのでしょうか。
当時前作を見たときは「ありきたりだなあ」と思っていた世界観が、今やファンタジーとなってしまったというのは皮肉な物です。
まあ100年後の未来はこうなってるかもしれないみたいなワンチャンはあるような気もしますが、それは置いといて。
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物語に目を向けると、これも前作同様、かなり切なく空しい感じになっているので、そういう意味では順当に作ったなあ、という感じはしました。ネタバレになるため言えませんが、ラストは軽く感動しました。
ただ、敵対する側の人たちの描写がなんともB級映画チックで安っぽく感じたのはちょっと残念。まあ不満はそれくらいでしょうか。


ただ前作、そして今作を続けて見たことで、ハッキリと確信したことがひとつあります。前作がなぜここまで幾多のサイバーパンクな世界観の作品で、ここまで飛び抜ける事が出来たのか。
それはおそらく、音楽。この要因が無茶苦茶デカイのでないのか、そういう風に思いました。

前作はあの巨匠ヴァンゲリスが手掛けていました。炎のランナーのサントラなどで一躍有名になった彼ですが、幽玄なシンセの調べが特徴的な彼のスコアは、当時私が前作のブレードランナーを見たときは、「彼の曲はサイバーパンクの世界とはかけ離れているような気がするんだがなあ」という違和感がありました。正直ミスキャストだと思えたほどです。

しかし、今見ると明らかにそれが異質であり特徴として際立っていることを理解できます。彼の幽玄な音楽があるからこそ、ブレードランナーの一種カオスな未来像に大きな説得力を持たせ、広大な世界が広がっていると錯覚させたのだと思います。

本作2049ではヴァンゲリスの代わりに、ハリウッド映画の常連ハンズ・ジマーやベンジャミン・ウォルフィッシュが手掛けています。何故ヴァンゲリスではないんだ、とファンのから不満の声もあったようですけど、彼らも本作で相当健闘していると思います。

当初は映画「メッセージ」でも手を組んだヨハン・ヨハンソンが手掛ける予定だったようですが、結局は使われなかったようで。そこはファンである私としては残念だったのですが、実際にサントラを聞くと完全に前作のヴァンゲリスの雰囲気を踏襲したうえで、現代音楽的な曲調で攻めた2049は、負けず劣らず世界観の説得力や広大に広がる雰囲気を助長し、前作からあった幽玄な雰囲気を受け継いでいます。
これがもっと今風のアレンジを効かしたキャッチーなサウンドだったら、全く違う雰囲気になり、何処にでも良くあるタイプのSF映画に見えていた可能性も否定できません。それは前作に対しても同じことが言えると思います。
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その観点で言うと、よくまとめたなと大満足なサントラになってました。
ただ、ボツになってしまったヨハン版のスコアはどうなっていたのかは気になるところですね。聞くところによるとヴァンゲリス風味が足りなかったそうなので、だとすると妥当な判断だったかもですね。
でも彼も実験的かつ攻めたサウンドで定評があるので、どういう雰囲気だったか一度聞いてみたいものです。


総括すると、まあ特に思い入れはないという色眼鏡が無かったという事も幸いしたのか、うまく作ったなあ、という感想で、普通にSFとして楽しめた作品でした。
ファン目線を考えた場合、色々文句が出そうだな、やっぱり、という懸念は当然ながら拭えないものの、最近のハリウッド的な万人受けすることを前提とした作りを抑え、非常に作家性を打ち出した本作はある意味で妥当な続編になったと思います。
なにしろ上映時間が3時間近くありますからねえ。これほとんどの人はついていけないんじゃないかな。
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これ何度も言ってるけど、結局みんなハリウッド映画スタイルに慣れすぎなんだよね。まあ2時間から一時間半は確かに丁度良い長さだけど。



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posted by KS(Koumei Satou) at 21:53 | Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月03日

前に進んでるんじゃない、立ち止まって全部を見てるんだ

今回は久々に映画の話題を。
レンタルで「メッセージ」を見たのでそのレビューをしようかと。

予告を見て以来、ずっと気になってた映画でした。一見すると、画角や演出的な部分で凄くクリストファー・ノーランとかあの辺のイメージが湧いたのですが、実際には全く違う監督で、今ではブレードランナー2049も手掛けたことで有名なため、今後も大いに活躍が期待される人と言えるでしょう。
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c 2016 Xenolinguistics, LLC. All Rights Reserved.

ある日突然、地球に12隻の未確認飛行物体が現れ、地上に降り立つ。全世界がパニックになる中、肝心の飛行物体はそこから全く微動だにせずアクションを起こそうとしない。
主人公である言語学者のルイーズは軍から要請を受け、この物体の中にいる「エイリアン」が一体なぜやってきて、何を目的としているのかを調査するため、この謎の訪問者とのコンタクトを試みようとする。


あらすじからもわかる通り、これはSF映画なのですが、その中でもかなり濃厚な、非常に「SF」という名にふさわしいハードなSF映画になっています。つまり、SFというのはガワだけで、実はアクション映画だとかそういう事ではなく、純粋にまっすぐにSFを描いている映画であり、そういう意味ではかなり人を選ぶような内容になっているとも言えます。

なぜならこの映画は言葉の通じない謎のエイリアンとの対話のシーンが大半で、これといった盛り上がりもあるわけではないので、ある意味で非常に地味な映画です。
いわば密室劇のような趣もあるので、そういったミステリーの要素もあるかもしれません。いずれにしても、ここ最近よくみられる、アクション満載のごった煮ハリウッド映画とは全く違う映画であることは確かです。
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エイリアンとのコンタクトを試みる、という話を聞くと、ジョディ・フォスター主演の映画「コンタクト」がまず思い浮かびますが、あちらとは結構アプローチは違う映画です。
この映画の場合、エイリアンとのコンタクトが既に成された状態で始まりますが、なぜかエイリアン側は積極的にアプローチすらしてきません。
そんな中で人間側から積極的にアプローチをして、徐々に対話が成り立っていく、という物語ですので、映画コンタクトのように、エイリアンとの「第三種接近遭遇」が目的ではなく、その後どうするのか、という話なので、内容はかなりピンポイントでそこに焦点が向けられています。


そのため、徐々に彼らとの対話が成立し、彼らの目的が判明するまでのプロセスが丁寧に描かれていくため、ここはまさにSFとしての醍醐味が光る部分でした。そういう意味では非常に面白かったです。
徐々に謎が明らかにされていく、という意味では前述したようにミステリーや推理小説のような趣もあるため、その点については割と万人が楽しめるのではないかと思います。
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とはいえ、その謎の真相の部分が、かなりSFとしての要素が強いため、人によっては「???」で終わる可能性も高く、見終わった後に「結局何が言いたかったんだろう」という感想になってしまう危険がありますね。
この辺を語ると当然ネタバレになるためあまり詳しく言えないのがもどかしいですが、丁寧に話を追えば、大方の筋は理解できるようにちゃんとなってますし、そこまで難解な映画でもないと思います。

しかし、こうした無骨なSFはそう多くは無いため、免疫がないと理解できない人も多かろうというのは事実です。私も後半クライマックスの展開で、完全に内容を理解できたかというとそうではなく、後から考察を読んだり、もう一度見返したりして「あーなるほど」と理解したクチなので、やはり何度か見返す必要がある映画、ではあるかもしれません。


それでも、SF好きなら絶対に面白い映画であることは間違いなく、万人向けではないかもしれませんが、非常にオススメの一本だと思いました。
ある意味でかなり特殊な会話劇、密室劇でもあるので、そういう地味な映画でもありますが、濃厚なSF映画というのはえてして地味な展開になりがちなので、逆説的に凄い「SFしているSF」である証といえましょう。
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最新作のブレードランナー2049はまだ見ていませんが、この映画を見た後だと、「少なくとも駄作にはなってないんだろうな」という保証がついたような気がします。見せ方や構成も見事でしたからね。
まあブレードランナーはウルサ型のマニアが大勢いることで有名ですので、絶対に批判にさらされる宿命にあるとは思いますが、とりあえず遅かれ早かれ見ようとは思います。

そういえば、この映画もブレードランナー2049も、音楽をヨハン・ヨハンソンが手掛けています。この監督の映画は常に彼がスコアを担当しているみたいですが、映画音楽を手掛けるようになる以前から彼の音楽のファンであった身からすると、非常に感慨深いものがあります。
そして、流石彼のサントラは凄い。映画メッセージでも彼のセンスが爆発していて、クレジットや劇中に流れるメインテーマの旋律は、かなり実験的なのにも関わらず、非常に味わい深い素晴らしい楽曲でした。
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ヨハンの楽曲はサントラ以外のソロ作品も素晴らしい物が散々あるので、ぜひ聞いてみてください。
4ADレーベル時代の物が特にオススメ。

あーちなみに、映画の冒頭に流れる悲しげな弦楽器の調べは、ヨハンの曲でありません。ヨハンと同じく新鋭の現代音楽家の一人でもある Max Richterの楽曲(Blue Notebooks "On the Nature of Daylight")です。
何故ここだけMax Richterの曲が使われているのかは謎ですが、取り合えずヨハンと同様に、今後の現代音楽をしょって立つ最重要人物ですので、覚えておいて損は無いですよ。




さて、ネタバレになってしまう案件が多くて語りにくいこの映画、流石にここから先はネタバレ全開で感想を描こうと思います。
そのため、まだ未見の方はここから先は読まないようお願いします。

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posted by KS(Koumei Satou) at 22:57 | Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月07日

能ある鷹は何故爪を隠したか

ドキュメンタリー映画「ヴィヴィアン・マイヤーを捜して」をレンタルで見ました。
今回はこの映画の感想を書くとしましょう。

一部では結構話題になったこの映画、何しろ膨大な数の写真を撮っていながら、一度も作品を公表することなくこの世を去ってしまった謎の女性写真家が居た、というセンセーショナルな筋書きを見たら、興味が湧かない訳はありません。
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(C)2013 RAVINE Pictures, LLC.

この映画を撮ったのは、そもそも彼女の存在をこの世に発掘した張本人(ジョン・マルーフ)によるものであり、言ってしまえば映画など撮ったことのない素人です。そのためか映画の内容は非常に淡々としたものでした。


歴史家であったマルーフが資料を捜す名目で、過去に取られた写真(ネガ)を中古で捜していたのが始まり。
オークションで大量のネガが出品されているのを発見し、彼はそれを買い取ったのだが、それがヴィヴィアン・マイヤーによる写真だった。
幾つかのフィルムを現像しネットで公表してみると、「素晴らしい写真だ」と大反響。
しかし、幾ら調べても「ヴィヴィアン・マイヤー」なる人物の情報が得られない。
しかし彼女の残したネガは次々見つかり、15万枚にも及ぶ膨大な数となった。
何故彼女はこれだけの写真を撮っておきながら一枚も世に公表しなかったのか?
そもそも彼女は一体何者だったのか?
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淡々とはいえ、一人の謎めいた人物を追ったこのドキュメントは極めて興味深かったです。
あらすじを見ると、もう何かのミステリー小説みたいな感じですが、実際彼女はとてもミステリアスな人だったようです。
乳母(ナニー)であった彼女は、自らを写真家だとは公言しておらず、あくまで趣味として写真を撮っていた節があります。

しかし実際彼女の撮った写真は非常に魅力的です。センセーショナルな部分が先行してしまうため、それで持ち上げられてるだけではないのか、と勘ぐりもしたくなりますが、写真の分からない私でも「あ、いいなこれ」と直感的に感じてしまうのですから、世界中の人が熱狂したのも頷けます。
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(C)2016 Maloof Collection, Ltd.

それにしては15万枚という数は趣味の範疇を超えています。知人だけには配ったり送ったりしてた、なんてなプライベートな範囲ですら見せていなかったのですから、純粋に「なんで?」と首をかしげざるを得ません。


しかし、映画をみるとそれなりに彼女の人となりのヒントは垣間見えます。
自分を写したセルフポートレイトが幾つか出てきますが、そこで写ったマイヤー氏の顔をみた私の第一印象は、
「なんか凄い闇をかかえてそう」でした。
こればっかりは感覚的な物で何とも言えないのですが、お世辞にも彼女の顔は健気な物とはほど遠く感じたのです。
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(C)2016 Maloof Collection, Ltd.

生前の彼女を知る人達のインタビューで分かることはそれを裏付けるもので、気難しくて口数少なく、変わり者だったということ。この辺は皆共通したマイヤーに対する印象みたいで、要するに少し近寄りがたい変人、という感じでしょうか。


それにしては、彼女は乳母という職に就き、沢山の子供達と一緒に時間を過ごしていたことになります。人付き合いが苦手、というような内向的な人間がやるような仕事じゃありません。そういう意味では彼女は決して人見知りではなかったのでしょう。
実際、彼女が撮った写真の、大半の被写体は人物像です。
これは彼女の写真がその他大勢のアマチュア写真と一線を画する大きな理由の一つだと思います。

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彼女はローライフレックスというカメラを愛用していました。このカメラ自体が味のある良い写真が撮れてしまうため、多分にカメラの性能による影響もおおきいのでは、とも取れるのですが、これでアマチュアが撮ってもせいぜい風景写真に終始してしまうのがオチです。

しかし彼女は街行く人達を切り取るように、あるいは肖像画のようにアップで撮ったりしています。だからこそ彼女の写真は他の写真と大きく違く見えるのだと感じました。
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(C)2016 Maloof Collection, Ltd.

今じゃスマフォやデジカメでトイカメ風の写真を簡単に撮れるため、ど素人でも良い感じの写真を残せる時代です。
下の写真はスマフォアプリのHipstamaticで私が撮った写真で、そこそこ良い感じの物が取れたと思うけど、やっぱり所詮はただの風景写真。

ヴィヴィアンマイヤーのような、その時代、その時間を切り取ったような写真を見るに付け、プロとアマ、写真に対する向き合い加減の違いを大きく感じます。
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それと個人的意見ですが、彼女によるローライフレックスの写真がスクエアの正方形だったというのも、インスタグラムなどでスクエア写真が一般的に浸透している今の時代にフィットし、大きな反響を得た一端を担っているのではないか、とも勘ぐってしまいましたが。
(まあ彼女の発見直後にインスタは流行ってなかったけども)

彼女の代表的な写真の一部は公式サイトで見ることが出来ますが、意外だったのは、70年代以降に撮られるようになったカラー写真。
実は個人的にはモノクロよりカラー写真の方が魅力的に見えました。有名なライカ等で撮ってるようなのですが、色合いと言い、構図と言い、もうアマチュアって感じがしないですね。
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(C)2016 Maloof Collection, Ltd.

しかし、こういった写真を見る度、どうしても「なぜ公表しなかった?」という想いに立ち返ってしまうのですが。
映画でも色々憶測は出てますが、結局彼女が亡くなってしまった後では、その真相は永久に闇の中です。
それだけに、マルーフ氏が2007年にネガを発見し、最初にネットで公表した次点ではまだ彼女は生きていて、本格的な捜査が始まった頃には既に亡くなってしまっていたのが本当に口惜しい(2009年没)。
映画を撮っている時にまだ彼女が生きていたのなら、彼女ははたしてこの大量のネガをどうして欲しいと言ったのでしょうか。今の大反響をどう感じたのか。
「きっと嫌がっただろう」「あと一押しの勇気が持てなかっただけだから好意的に受け取るだろう」色々憶測は言えるけども、明確な答えがでるわけもなく。

ちなみにアマゾンのレビューで本映画に対し「マルーフ氏が他人の遺産を利用して金儲けしてるだけ」とか辛辣な意見が出てて。はあ?と思ってしまいましたが。

15万枚ものネガを掘り起こしたマルーフ氏の行動力は並大抵の物とは思えません。あらゆる場所からマイヤー氏のネガを買い集め、美術館に保管を願うも断られ、結局自ら写真を管理・現像する事になったのですが、実際凄い時間とお金が掛かっているでしょうし(発見から映画公開まで6年もの歳月がかかっている)、その熱意は、多少邪な気持ちがあったとしても、賞賛に値すると思います。
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マイヤー氏がそれを望んだかどうかは結局知る由もないけど、少なくとも我々が知ることが出来たことの意味は大きかったと思います。
なにしろ、貸倉庫に大量にあったネガは行き場を失い処分されかけていたのですからね。
まあ要するに、マルーフ彼自身が一番の彼女のファンなんだな、と言うことに尽きると思うのですが。つまるところ、彼女の写真のファンといより、彼女自身のファンっていう意味での。


でも、ファンの想いと作者自身の想いは決して相通じるものとは限らない、というのを、以前ここでも紹介したことのあるゲーム「The Beginner's Guide」でつい考えてしまうのですけど。

そう思うと、ますますマイヤー氏の心情が謎に満ち、不可解ですね。
でも、ひょっとしたら、というのはあって、彼女が一切写真家という肩書きを名乗らなかったのは、「自分に写真家などと語る資格があるとは思えない」という、自虐的な一面があったのでは、という推測です。
自分の世界に引きこもってる人間ってのは、基本的に社会のはみ出しものって意識が強いから、自分の作品が受け入れられる訳がないって思いがち。だから怖くて世に出せない。勇気を出して見せて「くだらない」ってもし言われたら辛すぎる。だから怖い。だってもう傷つきたくないし。

勿論これもだたの憶測でしかありません。
でももしそうだったとしたら、世間から自分の作品が受け入れられたのなら、純粋に嬉しいと思ったはず。
まあ私が割とそういう人間だからって事もあるから、ひょっとしてそうなんじゃないかなって気がしただけです。
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(C)2016 Maloof Collection, Ltd.

私が漫画家を諦めてひっそりとWEBで公開したのもそれに近いのかもしれないね。
私の場合、脳内に垂れ流すばっかりでちっとも形にしてないぶん、マイヤー氏には足下にも及ばないのは明らかですけどね・・。
あーいかんね。もっと自分の世界を形にしないといけないね。

公開するかどうかは別にして(え



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posted by KS(Koumei Satou) at 20:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする