2019年03月10日

未来都市もポップであるべき

前々から気になっていたものの、ずっとほったらかしで放置してたDVDがあって、それがARCHIGRAM MOVIES!(アーキグラム・ムービーズ)という作品集。

内容にしてこの価格はちょっとなー(4千円くらいした)と二の足を踏んでた所、気がついたら10年以上放置してしまい、久々に調べてみればもう中古で安くなってるし、「流石にいい加減買うか・・・」と思い出したように購入しました。
3ks_archigram1.jpg

それにしても中古とは言えよく未だに売られてたな・・・・。
このDVD、「アーキグラム」というアート集団が作成した映像作品集なのですが、まず目につくのはなんだか馬鹿でかいスポンジのロゴですね。
これ、特典でついてきたマウスパッドで、目茶目茶厚みがあります。
厚みのわりにDVDジャケサイズ程度しかないので実用性があるかどうかは疑問ですが、まあどっかに飾っておく方が画になりますね。
肝心の中身なのですが、彼らは別に映像作品をメインに作ってきた訳ではないので、あくまで自分たちの活動の中の一環としての補完的な意味合いが強い映像集になってます。

そのため数も少なく、DVDに収録されているのはたった3作品。トータルで30分程度の長さです。
その分非常に希少性が高いこの前衛的な作品群は、アーキグラムを知っている人なら、実に興味深い内容には違いないのですが、ただアーキグラムの事を良く知らない、という人がこの作品集を見ても、正直彼らの持つ魅力を理解することは流石に難しいと思います。
まあ要はコレクターズアイテム性が高いDVDなので、万人にはお勧めできない、ということです。

というわけでこのアーキグラムというアート集団が何なのか、という事を知らない方のためにザックリ説明すると、英国の若手の建築家達によって結成され、1960〜1970年代に主に活動し、その後の建築をめぐるアートや概念、思想などに大きく影響を与えたグループの事です。
彼らは普段は通常の建築系の仕事をこなしながら、いわば同人誌のような個人雑誌を刊行し、その中で思い思いの建築的思想や未来の都市像を展開しました。
その内容が極めて自由でポップで前衛的だったため、彼らはしばしば「建築界のビートルズ」と呼ばれます。

例えばこの「ウォーキング・シティ」は、彼らの独自性と言うか、自由奔放な所がとても顕著に出たドローイングですね。
タイトルとこの絵を見ただけで、もうこの建築物が一体どういう代物なのかがすぐに分かってしまうと思うのですが、もうまるで子供の発想のような大胆な手法で「自ら移動する都市」というユートピアを示したのです。
3ks_archigram3.jpg
     c Deutsches Architekturmuseum

移動都市と言う概念自体は前からちょくちょくあったらしいのですが、ここまでド直球に描いたのは多分彼らが初めてで、当時のSF感やポップカルチャーも反映された、見た目にも非常にインパクトが強い作品で、彼らが当時一躍注目されたのも頷けます。

他にも、家を簡単に展開・解体することの出来る「インスタント・シティ」とか、後からモジュールを組み合わせて拡張が可能という日本のメタボリズムを思わせる「プラグインシティ」など、非常にSFチックかつ大胆な発想による未来像を展開しました。
勿論、彼らはこういったユートピア思想を本気で真面目に実現しようとしていたわけではなく、当時の、とくに英国内での保守的な建築思想や未来設計に対する彼らなりのカウンターカルチャーであったわけです。
3ks_archigram2.jpg


正直なところ、彼らの目指した、求めていた思想や概念が一体どういうものだったのか、など頭の弱い私には全く理解できないのだけど、少なくとも「建築とて、もっと自由であるべきだ」というメッセージがこもっていたのではないか、というのは何となく読み取れました。

例え何なのか良く分からなかったとしても、その近未来のSF的テクノロジーをベースにした奇想天外なユートピア像は見ていてとても楽しく、非常にアーティスティックであり、ひとつのアート作品として力強く、だからこそ未だに多くの人達を魅了させる何かがあるのでしょう。


というわけでDVDはあくまでファンの為のコレクターズアイテムでしたが、彼らの本筋であるドローイングの数々は、それらをまとめたアーカイブのサイトで見られますので、ぜひ覗いてみてください。





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posted by KS(Koumei Satou) at 22:40 | Comment(0) | 建築 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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