2017年03月12日

ダイアン、どうやらまた失踪事件が起きたようだ

またまた間を開けてしまって申し訳ないです。先月は忙しかったので仕方がないです。
で、今回はまたPCゲームのレビュー行きたいと思います。

我がサイトでも過去にIGF(Independent Game Festival)受賞ゲームを度々取り上げたりしてましたが、今回も2017年度のノミネート作品を紹介しようと思います。最近、STEAMにてIGFノミネートのゲームがセール価格で販売されていた事もあり、幾つか購入した経緯があったので。

で今回紹介するのはそんなゲーム「Virginia」です。
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Virginiaというのは、アメリカに実際に存在するヴァージニア州の事を差しているようです。この地で起きたある失踪事件を追う形で展開していくミステリー仕立てのADVです。
同名の映画があるようですが、当然全く無関係です。

さて、IGFと言えば、非常に先駆的、チャレンジングな内容のゲームを選考する事で有名ですが、このVirginiaもその例に漏れず、非常にゲームとしてのジャンル分けが難しいゲームになっています。というか、はたしてこれがゲームなのか、というのも議論の対象になってしまいかねない内容ではあります。

このゲーム、有り難いことに公式に日本語化されているのでその辺の心配はありません。ただし、設定でテキスト翻訳のチェックを入れておかないと、ゲーム中に出てくる書類等の英文が訳されないので注意してください。字幕については、基本的に耳が不自由な方のための物なので、そうでないならここは入れない方が良いです。

ゲームは、FBI捜査官になりたてのアン・トレバーとして、ある事件の捜査に乗り出す事になります。しかし、プレイしていて結構独特なゲームだな、と言うのをすぐに理解できるでしょう。
ストーリー的にはミステリーだというのに、セリフが一切無いからです。
当然あえてセリフを排除しているので、明確に会話しているシーンでも、「なんか話してるんだろう」体で進んでいきます。要するに、全部見た目のアクションや演出で全てを語っているタイプのゲームなわけです。
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ただそれによって明確に伝わらない部分も多々あり、物語としては難解な部類に入ります。現実と虚構が交錯するような不可解な演出も結構あるので、見た目の雰囲気もそうなのですが、ツインピークスやデビットリンチ監督の世界観が良く引き合いに出されていますね。
確かにヴァージニアの片田舎で展開する物語というだけでも結構ツインピークスを彷彿とさせる所があります。音楽とかも結構それを意識しているような所が見られますしね。

また、一応ADVらしい内容ではあるとはいえ、実際にプレイヤーが出来ることは極めて少ないです。アクションを取れる所に対してクリックするだけで、進めるルートは一本道なので別にあちこち歩き回れるわけでもありません。
いわば、アンという主人公を通して一連の物語を追体験していくような内容であるため、見も蓋もないことを言ってしまえば、手法としてはほぼ映画を観ている感覚に近いです。
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この部分が本ゲームの評価を分けている所のひとつです。あらすじやゲーム概要を見ると、一般的なミステリーADVみたいに思えますが、実際には全然そうではありません。IGF受賞のゲームでは度々見られますが、Dear Estherのようにゲームのような手法を用いた、新しい物語の表現手段の作品、と捉えた方が良いかもしれません。

私はもうこの手の作品には慣れているので別段気にならず楽しむことが出来ました。とりあえすデビットリンチのような一筋縄では行かない映画一本を鑑賞するような気持ちでプレイすると丁度良いでしょうね。


この点については結構このゲームで躊躇無く採用されていて、ゲーム自体は一人称視点で展開していくのですが、普通ゲームであればどこか目的地があるのなら、実際にそこまで歩いて向かうのがゲームとしての定石的な手法だと思うのですけど、このゲームの場合、目的地に向かって歩いていると突然場面展開して目的地のシーンに切り替わったりするため、映画的なカット割り手法が大胆に取り入れられている事が分かります。
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具体的な例を挙げると、ブレアウィッチのようなPOV視点の映画にかなり近い手法と言えます。
映画としては非常に初歩的な演出なんですが、ゲームでここまで大胆に取り入れられる例はあまりないように思えます。まあ何故かというと、これをやってしまうと映画手法に限りなく寄ってしまうので、ゲームとしての存在意義を危うくしてしまうからです。
でもこのゲームは「ゲーム然としてなければならない」というような強迫観念にも似た物を一切気にしてない作品なので、こういう事を大胆に取り入れているのでしょう。
Dear Esther以降、こうしたゲームとしてのあり方みたいな物に囚われない作品が増えてきましたね。


さて、物語的には、上司のコート氏に呼び出されたアンは、あるベテラン捜査官のパートナーになるよう任命されます。
このパートナーとなるマリア捜査官が追っている事件が、例の少年失踪事件という事になります。

ここの部分、セリフによる説明が一切無い上に、プレーヤーの意志に関係なくどんどん場面展開していってしまうので、誤解してしまうプレイヤーが多く、非常に注意が必要です。
ネタバレにはならないと思うので書いておきますが、上司から渡された黄色いファイルは内部調査を任命する物で、マリア捜査官の動向に怪しい所があるので探ってこい、というのがパートナーになる真相だと言うことです。
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これを理解しておかないと、その後のアンの行動が不自然に思えるし、事件を追いながらパートナーの過去を洗い出そうとする複雑な物語の構造が理解しずらくなるので、ちゃんと把握しておきましょう。
私の場合、最初テキスト翻訳がオフのままプレイしたため、「あれ、なんかおかしいぞ?」と途中で気付いて最初からやり直すハメになりました。


というわけで、このVirginia、ルーカス少年の失踪事件を主軸に起きながら、実はもう一つマリア捜査官の話が同時に動いているので、ミステリーとしては結構凝っています。この辺の構造もちょっとツインピークスを彷彿とさせる所ですね。
物語の結末も、ツインピークスよろしく結構難解な展開をするので、ここがまたもうひとつ評価の分かれる点でしょう。
とにかく、どこまでが現実で虚構?みたいな描写も結構あるため、あえて分かりにくくしているきらいもあり、結局何が言いたかったのか分からない、という方も多そうですね。

こういった新しい非ゲーム的な内容の作品にも慣れた人でさえ、流石に物語の展開が理解できないとなると「うーん・・」となってしまいますからね。

ただ色々なところで考察はされており、それを読むと、割とそんなに複雑な物語でもないのかもな、という気はしました。
とりあえずそのまま一度体感してみて、そのあと色々考察を読みあさってみてから、再びプレイするとだいぶ印象が変わるかもしれません。
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ちなみに、考察の部分で初めて知った部分で、ネタバレにならないと思うので記しておくべきと思った点があり、それが、不良から押収した財布から出てきた色鮮やかな切手みたいなチップの件。
これ、全く意味が分からなかったのですが、実はこれLSDなんだそうで。
海外の人達には常識なんでしょうが、流石に我々日本人には馴染みが無いので、仕方ないとはいえわかりにくい部分でしたね。
アンがそのLSDに対し行った行動は謎ですが、単純に興味本位でちょろまかしたのかなーと推測。


ゲームは2時間程度で終わるので、本当に映画一本見る感覚に近いですね。これを新しい体験と捉えるか、ゲームとしてはクソゲーとして捉えるかは個人次第な所があります。
私は、映画的手法を大胆に取り入れた本ゲームを極めて楽しむ事が出来ました。当然謎めいた物語を理解できたかというと全然そんな事はありませんが、そういう映画嫌いじゃないので、そういう点も含め、楽しむことが出来ました。
まあゲーム内容以前に、デビットリンチみたいな謎めいた作品は苦手、という方には確かに楽しみにくい作品かもしれません。

ここのサイトの尖ったゲームラインナップを好む人なら、充分楽しめる作品だと思います。
Virginiaは現在Steamにて購入可能です。

あと、ゲーム音楽が秀逸です。インディーゲームでよくぞここまで映画音楽並みのサントラを付けた物だと感心します。サントラ同梱版を買わなかったことを少し後悔。またセールが来たらサントラ買おうかな。
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Virginiaは大賞ノミネートからは惜しくも外れてしまったみたいですが、となると大賞有力候補はどれですかねえ、個人的にはEvent0INSIDE辺りじゃないかと予想してるんですが。
といいつつ、どちらもまだ未プレイなんですけどね(え

INSIDEは購入済みなのでいずれプレイしなきゃですが、Event0は英語が出来ないと難しい上に日本語化もほぼ不可能な内容だから、流石に無理でしょうなあ。SF好きとしては凄く面白そうなんだけど。残念。






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posted by KS(Koumei Satou) at 22:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | PCゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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