2016年10月16日

あいにく鏡はみんな割れちまっててな

今回もPCゲームの話題です。暇な時間は最近これしかやってないですからねえ。
前回の記事でも少し言及した、SFホラーゲーム「SOMA」をプレイしクリアしたので、このゲームの紹介をしようと思います。
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SOMAはAmnesia: The Dark Descentを制作した開発スタッフの手によるゲームで、Amnesiaは「主人公が弱くて反撃できない」系のホラーゲームとしては、名作として知られており、私は未だプレイした事はありませんが、今回SOMAをプレイしてちょっと興味が出てきましたね。まあ実際プレイするかどうかはともかく、気になるくらいには、今回非常に楽しませて貰った、という事です。

Amnesiaは純粋に霊的な怪奇現象によるホラーゲームですが、今回のSOMAはSFと言うことで、そういった通常のホラーゲームとは少し趣が違います。

前回の記事「Layers of Fear」の時も書きましたけど、「反撃出来ないのがイラつく」「大きい音や突然の登場で脅かす演出が嫌い」という理由から、ホラーゲームは大して好きではないのですが、SFという設定や、ユーザーの評価もかなり高く、そして丁度セールで安くゲット出来た事もあり、ちょっとやってみるか、という感じでプレイしました。まあガッチガチのホラーって内容ではないらしい、という情報もあったので、普通に楽しめるかな、と。

結論からいうと、確かにガチガチのホラーではありませんが、それでも前回紹介したLayers of Fearなんかに比べれば、ずっとホラー的内容だったと思います。
人によっては場面場面で凄い怖いだろうし、脅かし演出も適度にあるし、苦手な人にとっては普通に手に汗握るゲームかと思います。
ただ、心臓がビクっとなるような、オバケ屋敷的驚かし方は意外とマイルドな印象で、手前でご丁寧に予兆や前兆があったり、ただのこけおどしだったりするので、それほど不快な気持ちにはなりませんでした。
むしろ前回のLayers of Fearの方がビクッ率が高かったような気がするくらい。それとも単純に慣れてしまったのだろうか(爆


で、SOMAの内容なのですが。
海底の基地施設で展開する物語、というあらすじだけは知っていたのですが、ゲームが始まっても、イキナリそこからは始まらないのでちょっと驚きました。
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ここからどうやって本筋に流れていくのだろう?と思って見てると、本当に意外な感じで移行していきます。この辺はネタバレを避けるためにあえて言わないでおきますが。
なお日本語化MODが出回っているため、ちゃんとストーリーを追うことが可能です。というか、ストーリーが結構重要なゲームですんで、無いと無理ですね。
有り難いことにかなり細部まで日本語化してくれているので、とても分かりやすかったです。


ですが、正直ゲームの序盤だけでは、一体何が起きているのか理解しづらく、よく分からないまま話を進めていく事になります。でもこれは主人公であるサイモンも同じ気持ちなので、そういう意味では没入感は高いです。
「え、どういうこと?」って思ってると、間髪入れずにサイモン自身も同じようなセリフを言ってくれるので、まさにプレイヤーの気持ちを代弁してくれているかのようでした。
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このゲームも、周りにある物を調べて情報を得ていくタイプのゲームなので、引き出しの中や、置いてあるメモなどを読んで、何が起きているのか、起きたのかを知る上での手がかりになります。
こちらも大部分が翻訳されているので有り難いですね。
このゲームの場合、あまり面倒くさがらず、しっかり周囲をしらべながら進んでいくことをオススメします。元々内容がハードSFという事もあって、得ている情報が少ないと、何が起きてるのかの補完率が足りず、結局よく分からん、となってしまいかねません。
例えばゲーム序盤で主人公サイモンがなぜ脳のスキャンを行うのか?という疑問にもちゃんと理由があったりするので、それを理解するためにもメモ読みや会話はきっちり行いましょう。

さて、海底施設に舞台が移ってから本格的に話が始まりますが、いよいよホラーゲームとしても始まる事になります。
ホラーゲームとしてはお馴染みの、モンスターに追い回される、という例のくだりですね。
この、追い回す相手がなんなのかについてはあえて伏せておきますが、まあとにかく得体の知れない「何か」に要所要所でつきまとわれ、その度に恐怖の鬼ごっことかくれんぼをしなくてはいけません。

ここは普通にドキドキのシーンなので、ホラー系としては及第点なのでしょう。ただ私はこの手の追いかけっこが嫌いなので、とっとと終わらせたかったですけどね。
敵が近くに来ると画面にノイズが走るのでそれで危険度が分かる仕組みです。目線を合わせたり、大きい音を鳴らしたり、そもそも近づき過ぎたりすると気付かれて襲いかかってくるため、そうならないように慎重に避けて進みます。
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この辺は、例の「スレンダーマン」系のゲームに近かったですね。
ただ敵に捕まったら即ゲームオーバーという訳ではなく、一度やられてももう1回だけチャンスが残ってるので、そういう意味では死んで憶えるゲーではないぶん、スレンダーマンと比べてまだ理不尽さは薄いゲームですね。
ただ、残りチャンス1回の際は体力を削られて歩くのもやっとの状態になってしまってるので、速攻でまたやられてしまうこともありますが・・・。

このホラー要素である追いかけっこがずっと起こりっぱなしという訳ではなく、ゲームの節々の適度な場所で起こるため、そんなに頻発する訳ではありませんが、それでも毎回同じパターンなため、後半は正直「またかよ」って感じでした。
敵によって多少行動パターンに違いがあるとはいえ、やる事は結局逃げてやり過ごす事に違いはないのですから、いい加減、銃で撃ちたくなりましたね。


この辺はホラーゲーム好きにはたまらないのかもしれませんが、そういう事とは関係なく誰しもネックになりそうな問題点をこのゲームは抱えています。
それが「迷いやすい」という事です。
ゲームの要所要所で海底の外を移動しなければならないシーンがあります。これが、かなりリアルに海底の雰囲気を描けているぶん、非常に視界が悪く、マップも表示されないため、自分が今どこに居るのかがすぐに分からなくなってしまうのです。
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よーく周囲を見渡せば、ちゃんと目印たるヒントが出ていることが分かるのですが、それが非常にさりげなく置いてあるうえ、無関係な建物やオブジェクトとそうでないものとの明確な差があまり無いリアル志向なので、目の前にあるのに見逃すという事態を犯しやすいのです。

出来る限り見逃しを無くすためにも、ゲーム設定の「簡単インタラクトアイコン」はオフにしておきましょう。デフォルトでオフになってますが、これがオンだと、触れる箇所でも明確にアイコンが表示されなくなるため、非常に分かりづらくなってしまいます。

そうでなくとも、この視界の悪い中で敵に襲われて逃げまくると、もう自分の位置が分からなくなるので迷子になりがち。私の場合、海底のシーンではあっちこっち動き回っても答えが見つからず、途方に暮れていると実は目の前に操作可能なボタンがあったことに気付いて愕然とする、とかありましたので・・・。

ここは正直もう少しなんとかならなかったのか、とは思いました。あまり親切にヒントを出し過ぎるのもどうかとは思いますが、ただでさえ視界が悪いうえに暗いので、もう少し触れるオブジェクトには分かりやすい差を付けても良かったのでは。
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まあその代わり海底などのシーンは作り込みが非常に優れており雰囲気はバッチリです。あんまり長居したくない、という気にさせるというのは多分開発陣の意図する所でしょうしねえ、まんまとハマっているという事になりますが。


とまあ、色々問題を抱えているゲームではあるのですが、このゲームを他人に薦めるか?という話になったら是非にでもオススメしたい、となってしまいます。
何故そうなるかと言えば、それは物語にあります。

内容は非常に無骨なハードSF物であり、慣れていない人にとっては半分以上チンプンカンプン、という方もおられるかもしれませんが、SF好きにとっては、かなり興味深いテーマを扱っており、グイグイ話に引き込まれること請け合いです。

主人公がプレイヤーの立場に近しい存在であるというのも相まって、主人公=プレイヤーが成り立っているため、主人公が理解できないことはプレイヤーにも理解できない、という図式になっており、そのためある程度難しい場面ではちゃんと会話でそれとなく説明が入るようになってます。そこもうまい演出ですね。
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序盤では何が起きてるのか分からない謎だらけの状態ですが、意外と中盤当たりであっさりと謎が明かされて、話の展開は次のステップに移ります。
そこからラストに向けてじわじわとゆっくり進んでいきますが、とにかくラストは必見で、感動と困惑が同時に襲ってくるような圧巻の幕引きで、しばらく呆然としてしまいました。
ある意味で非常に「SF的」な終わり方であるので、個人的には凄く見事だと思いました。
各所で見られる「まるで映画一本を見たようだ」という感想は決して大袈裟ではありません。

色々とネタバレに繋がりかねないので殆ど何も語れないのがもどかしいですが、このゲームで語られてる事は度々ハードSF等で取り上げられている事でもあるし、近しい将来に起こりえる問題でもあると言えるし、そういう意味では絵空事では終わらない非常に重いテーマだと思います。
実際このゲームで試みたような事が起きた場合にどうなるのか、というのはこの手のSFを見たときに常々疑問に思っていた事だったので、その部分をそれなりに解答して見せた、という意味でも、非常に興味深い内容でした。

結論から言って、SF好きなら是非ともプレイ必須、と断言できます。正直ホラー要素が後半になるに従い邪魔で面倒くさいようにしか感じられなくなってしまったため、そこは大きくマイナスなのですが、そんなに難易度が高いわけでもなく、理不尽な怖さという分わけけでもないため、ギリ許容できる範囲でしょう。
まあ迷いやすいのは人によっちゃ結構な問題点ですけどね・・・。
プレイ時間も10時間前後とそこそこあるので、値段分はおおいに楽しめるはずです。私は迷った分だけ15時間ちかくかかってますけど・・・。
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SOMAはSTEAMにて購入可能です。
非常に質の良い日本語MODも出ているので、その辺も心配ありません。

さて、流石にストーリーに関して何も詳しく語らないまま終わるのはもどかし過ぎるので、このあとはネタバレ全開でレビューをします。
未プレイの方はご注意ください。



このゲームで扱われているテーマは、色々とジャンル分けが可能だとは思います。人間の意識のデジタル化、クローン化、仮想現実を唯一無二の現実とするという考え方、近未来でのノアの箱船、などなど・・・。
ここで扱われているテーマが、私が散々ファンだと提言している「某SFロボットアニメ」でも語られている話なので、もう好物中の好物なのですが、その中でやっぱり毎回疑問に思ってた事がありました。

人間の記憶はコピー・転送化出来ても、意識までコピー・転送出来るのか?という問題。
攻殻機動隊なんかではゴーストって表現を使ってましたが、ここでもそういう曖昧な表現を使うしかないほど、まだ我々の中で不明瞭で不確定な部分なんですよね。
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シュワルツネッガー主演のSF映画で「シックス・デイ」というのがあり、人間のクローン化を扱った映画だったんですが、その中で自分が死んでもクローンとして蘇ることが出来る、というくだりがあります。つまり、クローン技術を使ってある種不老不死を実現した、というわけです。

ですが、この映画を見た私は違和感しか残りませんでした。だって、それって蘇った事になるのか?という。
つまり、自分が死んだと同時にクローンに意識が移るという保証があるのか?という疑問。意識が全てのクローンと共有されているならともかく、理論的にそうなるとはとても思えない。
そもそも、クローンだからといっても、外見と記憶と遺伝子が全く同じなだけの個別の人間という事になるし、結局の所、赤の他人と違いはありません。そもそも意識が共有できないからです。

人間の脳のデジタル化も同じですね。果たして意識までデジタル化出来るのか? デジタル化出来たとしても、結局それも外見が同じなだけの赤の他人って事にならないか?という。

ただ、意識という物に関して、我々はまだまだ漠然かつ哲学的にしか捉え切れてないので、実際こういう事が起きたときにどうなるのか、誰にも分からないのは事実です。本当に意識が移行してしまうのかもしれない。でも、SF的、科学的に考えると、どうにも説明できないんですよねえ。

SOMAでも、脳を複製した場合、意識は果たしてどちらの物になるのか?を描いており、両方で共有されてるのか? それとも結局は赤の他人と同等? という疑問を投げかけてます。で、このゲームではやはり「共有は出来ない」という結論を出しており、あの衝撃的なラストに繋がっているわけですが、このゲームの場合、私の感想では「意識はコピーされているけど結局共有は出来ない」という風に見えました。
私個人の見解では、そもそも意識までコピーは出来ないのではないのか?と思ってますけど、このゲームである種の仮説を見せてくれたのは、非常にSFとして興味深かったです。

脳をスキャン後自殺する、という話が出てきますが、これも意識を共有できないから起きた事例って事ですよね。ただ、片方の意識が消えたからと言って、自分の意識が残った方に移るという保証は全くないと個人的には思いますね。やっぱり赤の他人って事だと思うので・・・。

ひとつの意識が個々の体に共有されていて、もはや個性が存在しない「ボーグ」というエイリアンがスタートレックシリーズに登場しますが、これを思うと、ひょっとしたら脳のコピー化ってボーグって事になるのかな、とふと思いました。

もうこの話をしてると答えのない堂々巡りになって脱げ出せなくなるだけだからこの辺にしておくとして、このテーマを扱っているからこそのラストシーンは本当に見事でした。
ある意味では凄く後味が悪い感じも受けなくもないですが、決してバッドエンドでは無いというのが、非常に味わい深い物にしていますね。
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バッドエンドとトゥルーエンドを同時に見せられたような物だから、まあ複雑な気持ちにはなりますわな。
面白いのは、どっちか片方しか見せられなかった場合、どっちも「ええ・・・これで終わり?」ってなってしまうってことで、同時に見せられたからこそ活きてくる演出が際だっています。ここが深い。

この辺はゲーム「タロスの原理」で感じた物と近いのかもしれません。凄く切なくて悲しいけど、希望がかすかに見える、それが美しくて仕方がないという。
某ロボットアニメも奇しくもそれに近い物を描いてるんですよねえ。


あれから、実況動画を捜して、プレイヤーが最後にどう感じたのかを見るのが楽しくてしょうがありません(笑)。
やっぱりみんな呆然と声すら出せなくなってるのが面白いです。でも、皆口々にストーリーが素晴らしいと言っていて、テーマがきちんと伝わっているようなので、ゲームの方向性と意図する所は成功していると言えるでしょう。

ゲーム性としては色々疑問の残る点もあるとはいえ、エンターテインメントとしての総合性で語ると名作と言って良いでしょう。
個人的にはここまで無骨なハードSFのゲームは久々で、凄く楽しめました。



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posted by KS(Koumei Satou) at 21:44 | Comment(0) | TrackBack(0) | PCゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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