2016年10月09日

その芸術はあなたにしか見えてないのか?

今週はブログ更新します。またPCゲ−ムの話題ですけどね。
Layers of Fear」というゲーム。

トレイラーを見たときから凄い気になってたゲームで、有り難いことにのちに正式日本語対応し、セールで安くなってた事もあり迷わず購入。
にも関わらず、どういうわけかプレイには二の足を踏んでいた有り様。最近になってようやく棚から引っ張り出してきた格好ですね。
まあ、他に色々ゲームやってたから、というのがあるんですけど。
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ぱっと見の雰囲気でも分かるように、いわゆるホラー系のゲームです。ぶっちゃけホラー系のゲームってのはあんまり私は好きじゃありません。
怖くて嫌だから、という訳ではありませんよ、念のため。割と他の人に比べても免疫はある方で、正直絶叫とかは上げたりしませんし。
ホラー系のお約束として、主人公が弱いので反撃できない、というのがストレスが溜まってイライラするのがもっとも大きな要因ですね。ただ逃げるだけ、というのが解せない訳ですよ。映画でもモンスターに一方的にやられちゃうわけじゃないですか。そういうのが見てて辛いんですよねえ。

あと、ホラー系でよくあるビックリ演出も好きじゃないです。要はオバケ屋敷系ですね。人より幾ら免疫があるからと言って、突然デカイ音を鳴らして急に画面が切り替わったりしたら、そりゃ誰だって驚きますよ。心臓がビクってなるし、一体何が楽しいのか理解に苦しみます。


でLayers of Fearです。前述したようにこれはホラー系なのですが、実はちょっと他のホラー系のゲームとは一線を画する内容になってます。だからこそ、非常に興味をそそられたのですが。
つまり、前述したようなホラー系のお約束があまり感じられない、一風変わったゲームに仕上がっているからです。



このゲームが作られるにあたり、大きく影響を及ぼしたゲームがあるとされてます。それが、「P.T.」という無料のゲームでした。
メタルギアシリーズで知られる小島プロダクションが、PS4用のサイレントヒル新作のために作ったティーザー広告という体のデモゲームで、短い内容ながらあまりに斬新すぎる内容故に賛否を巻き起こしつつも、新たなホラー表現を定義して見せたと非常に話題になったゲームでした。

L字に曲がった廊下を延々とループして進む、という内容なんですが、徐々に情景が変化し、奇っ怪なまでに歪んでいく様を描いており、あたかも精神が病んでいくような錯覚を覚える、実に不可思議で不気味な体験が出来るホラーゲームだったようです。


しかし、肝心のサイレントヒル自体は開発中止になってしまい、その事もあってP.T.自体もPS4のラインナップから消え、現在では遊ぶことが出来なくなっています。私も動画で内容を知っただけで、じかに触れた経験はありませんが、動画をみただけでもその奇妙な世界観はビシビシ伝わってきました。

このP.T.が持っていた世界観の息吹を、Layers of Fearは確実に受け継いでいると言えます。パクったと言ってしまえば見も蓋もないですが、どちらかというとフォロワーという方が正しいでしょう。ちゃんと自分たちのオリジナリティを加味して次のステップへと昇華させていると言えるので。


Layers of Fearは、ある画家が主人公で、自宅兼アトリエにこもって、一つの作品を完成させるまでの物語です。
プレイしてすぐに分かって来るのですがこの画家、明らかにスランプに陥っており、しかも相当病んでいる様子。
冒頭から「こいつ大丈夫か?」という描写が結構あるので、もう話が動き出す前から不安が募ります。

ゲームは一人称で進みます。舞台はもう雰囲気バリバリの古風な洋館。近代的なものが全く置かれていないため、時代背景も現代では無いようですね。
まず、このビジュアルのこだわりが凄い。緻密に細かく描かれており、洋館のもつ不気味さがこれでもかと表現されてます。特に何も起きてないのに何か気持ち悪い、という古い洋館や日本の和室なんかが持つ独特の雰囲気を良く助長出来ていると思います。
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棚の引き出しなんかは調べて中を確認できたりします。ここから手紙やメモなんかをチェックする事が出来、これらは物語を紐解く上で重要なピースとなっています。このゲームは直接ストーリーを語ってくれるようなタイプではないので、こうした情報源を集めて、一体画家の身に何が起きたのか、そして画家は一体何をしようとしているのか、というのを考察するのも醍醐味となっています。

しかし、ゲームの序盤から、いよいよ奇怪な事が起こり始めます。それこそP.T.のように「あれ、ここさっきまでこんな風になってたか?」と首をかしげるような地味な変化から始まり、徐々にあり得ないような怪奇現象が襲い始めます。

ネタバレにはならないと思うので今の内に明かしておきますが、このゲームは別にオバケが襲ってきたりとか、モンスターや殺人鬼から逃げ回るようなゲームなんかではありません。
前述したように主人公が相当に精神を病んでしまっているため、それ故に見ている悪夢、幻覚、狂気の情景なのです。
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もっとも、これが幻覚なのかどうかは明確に説明がある分けでもないですし、誰にも分かりません。ですが、家が変幻自在に変化し、時に行く手を阻み、時に道筋を誘導するような光景を見ると、とても現実的に起きているとは思えず、非常に精神的世界を描いている節を感じ取れるのです。
P.T.もそうした疑惑が常にあったゲームだったので、正にその点を受け継いでると言えますが、P.T.の方がまだ順当なホラーゲームに寄っていた内容だったでしょう。

しかし、Layers of Fearは意図的にだと思うのですが、血の表現や死体と言ったグロテスクな表現をあえて避けており、全く無いとは言わなくとも、ホラーにしては圧倒的にそういった表現が少ないゲームです。
そのかわり、画家が書き殴ったであろう、散乱した絵の具がまるで血のように感じ、大量にうち捨てられた人形は、もうそれだけで不気味。
うまいこと別の表現でグロテスクな描写を代用しており、これは見事でした。そして、滅多にでてこないからこそ、時々出てくる血の表現がより鮮烈に際だっていると思います。
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言ってしまえば、このゲームは狂気の精神世界を彷徨うゲームであり、非常にカルティックな雰囲気ゲーだと定義する事も出来るでしょう。
あえてホラー系だとするなら、直接的な表現を抑えたロマンティック・ホラーの類と言えましょうか。
そういう意味で、通常のホラーとはだいぶイメージが違うので、普段ホラーが苦手な人、また私のようなホラーが「別の意味で」苦手な人にも、充分楽しめるゲームだと思います。

とはいえ、全くホラーの要素がない訳ではありませんので、そこはある程度覚悟しておくべきです。
あの「ビックリ演出」が、少ないとはいえ、要所要所で起こるので、ホラー慣れしてない人にとっちゃ、それだけでも充分怖いでしょうし、至る所に飾ってある絵が雰囲気ありすぎでとにかく気持ち悪いので、そういうのが耐えられない人もいそうですね。
特にこのゲーム、全体的に暗い場所が多いので、良く前が見えない、とソロソロ前に進む場面が多々あります。そういうときに何か起こると、え、何?と状況が良く分からないので、イライラと不安が募ります。
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ただ、そういった事が起こっても、死ぬことは無いので、安心してプレイできるとも言えます。「あ、なんか襲われた」みたいな事が起きても、次の瞬間、主人公がその場からムクっと立ち上がるので、「と、いう夢をみたのさ」という事でしょうし(え
個人的にはこういう表現すらオミットしてしまっても充分気色悪いゲームに出来たと思うので、ちょっと惜しい。でも流石にそこまでは勇気が足りなかったか。

演出で言えば、振り返っただけでもう部屋の情景が変わってしまったりとか、思わず2度見しちゃうような演出も多々あるので、なんというか目の錯覚を売りにしたゲーム「Antichamber」を彷彿とさせる所もあります。実際起きている事は、ほぼAntichamberに近いと思いますしねえ。
雰囲気としては、どことなくキューブリックの「シャイニング」あたりも近い感じを受けますね。
とにかく個人的には、この全体的に漂う「ただならぬ狂気感」の演出が見事という他なく、非常に興奮しました。完全にイカれてる、というより、一見冷静、だが確実になにか壊れている、という感じが凄かった。そういう意味じゃやっぱりキューブリック的とも言えるかも。
こういう表現がとうとうゲームで出来てしまう時代が来たことに感慨深いと同時に色々心境複雑でもありますね。
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ゲームは基本的に一本道ですが、マルチエンディングになっているようなので、周回するのが前提になってるぽいです。
それが証拠に、2週目をプレイしたときに気付いたのですが、「あれ、この部屋前回では通ってないぞ?」とか、「あれ、この辺であの演出があったはずなのに飛ばしちゃったぞ?」みたいな地味な変化が見られたので、微妙に分岐点が用意されてるみたいです。
確かに、アイテムをゲットしたのに結局使わずじまいとか、何か手前で起きてるのにそれを無視して先に進めちゃったりとか出来るので、そういった細かい要素の積み重ねでフラグが立ってるんでしょうか。この辺はP.T.ばりに難易度が高そうです。
実際、私もまだ一種類のエンディングしか見つけてません。
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物語は漠然としか語られないので、結局何が起きたのかはわかりにくいです。ですが、各所に落ちているアイテムやメモを拾うことで、結構補完することが可能なので、出来る限り集めた方がよいです。しかし、こういった物を無視してどんどん進めることが出来てしまうため、とりあえず初回プレイでは何も考えずに進み、2回目以降に細かく周りをチェックしながら、アイテムを取りこぼさないように進むと良いと思います。

そんなに高いゲームでもないので、ボリュームは少なめ、2、3時間くらいで終わるでしょう。周回するともっと掛かりますけどね。
あとDLCのエピソードもあり、僅かながら物語の補完になるゲームなので、本編でストーリーが気になった方は、是非プレイすると良いでしょう。
このDLCでも斬新な試みが成されていますが、ちょっとゲームとしてはあまり成功しているようには思えず。それでも、物語の補完という意味では、非常に興味深い作品になってます。


DLC共々、正式に日本語対応されているため、各手紙等の文章から壁の落書きに至るまで、隅々まで翻訳されているのが実に有り難いです。
当初は、手紙は英文のままなのか?と一瞬焦ったけど、スペースキーを押すことで字幕を出せるので無問題です。翻訳文も非常に自然で違和感なかったです。
Layers of FearはSTEAMにて購入可能です。PS4でも今秋リリースされるみたいです。

当然ながら戦う要素も、逆に逃げ回る要素すら無いので、結局の所雰囲気ゲーに属するゲームだと私は結論づけてますが、この内容は正に雰囲気ゲーにはうってつけでしょうね。次から次へと巻き起こる怪奇な現象に目を奪われるので、退屈はしないはずです。
重ねて言いますが、ホラーゲームとしては直接的な要素が少ないので、単純に「恐怖体験」を求めている人には不向きです。やはり雰囲気ゲー好きのための、新たな表現を模索した意欲作として見るべきでしょう。個人的には久々の傑作雰囲気ゲーと考えてます。
まあそれでも、ホラーが苦手な人には充分怖いゲームの一つではあるのでしょうけどね。
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そういえばホラー系ゲームと言えば、「SOMA」は買ってみたんだよね。
こっちの方がずっとホラー系に近しい内容だと思うけど、評価高いのと、そんなにホラー全面寄りの内容でもなさそうなのと、あとSFだってのもあって、ちょっと試しに買ってみた次第。
OUTLAST」は完全にお化け屋敷系のゲームだったので早々に積み上げてしまったけど、果たしてこれはどうなるか。




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posted by KS(Koumei Satou) at 22:26 | Comment(0) | TrackBack(0) | PCゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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