2017年03月26日

雑音と音楽と無の狭間で

しばらくゲームの話題が続いたので久しぶりに別の話題を、ってそういうつもりで用意した訳ではないけど、
以前からちょっと取り上げたいなあ、と思ってた事があるので、今回はその話題を。

池田亮司(Ryouji Ikeda)についてです。

一応音響系(ミュージックコンクレート)のミュージシャンとして有名な人なのですが、本国でどれだけ知られているのか結構疑わしいですよね。
元々こうした実験音楽系がマイナージャンルなので仕方がないですけど、彼が基本海外で活動している事もあって、ライブ活動も基本的に海外中心というのもあるでしょうか。

私が彼のことを知ったのは2000年前後の事だったでしょうか、丁度この頃音響系のサウンドにプチはまっていた時期だったため、カースティン・ニコライが主催するRaster-Notonレーベルの曲を良く買っていたのですが、その中にRyouji Ikedaの名前があったのがきっかけです。
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彼はかなり早い段階からこうした音響系のサウンドを展開していたため、音響系のパイオニアの一人として語られることが多いようですが、で、実際彼がどのような音楽を制作しているかを説明するとなると、うーんはたして彼の魅力を充分に伝えることが出来るかどうか、私の文才ではかなり疑わしいところがあるのですが・・。

とりあえず音響系、という所から始めなくてはなりませんが、様々な街に溢れるノイズや音源などを利用して曲を再構築する事が一般的に知られていて、ノイズミュージックに近いと言えば近いのですが、シンプルな技法の物が多く、ずっと昔に紹介したことのあるフランシスコ・ロペスなんかを連想していただくと分かりやすいです。

フランシスコ・ロペスがフィールドレコーディングを中心とした環境音を構築していくのに対し、Ryouji Ikeda氏は周波数やグリッチノイズといった、所謂ノイズ音源を利用してミニマルパターンを構成し、一定のリズムを構築していくのが特徴です。

ノイズパターンをリズム化して一種のテクノミュージックにする技法は既に様々な人達が試みている事ですが、彼はその中でも非常に徹底しており、ピーっとかジーッとかいうコンピュータが一般的に発するようなノイズ音を、それこそ本当に一定間隔で並べただけみたいな超シンプルなサウンドを展開しています。

よもすると、本当にこれは音楽なのか?という疑問を持つ方も出てくるでしょう。フランシスコ・ロペスなんかもまさにそういった疑念を常に持たれてしまう宿命にあるようなサウンドですけど、Ryouji Ikeda氏のサウンドは、実はロペスよりかはずっと分かりやすいと思ってます。
なぜなら、一定のリズムを刻み、徐々に変化、構成されていくサウンドは、単純とはいえ音楽の文法な訳だし、ミニマルミュージックやテクノの文脈にかろうじて入っていると思うのですよ。

特にそれが分かりやすいのが初期の頃のアルバム「+/-」辺りのサウンドで、Headphonicsなんかは彼なりのテクノミュージックとも言えるものであり、クラフトワークなんかの非常にシンプルなテクノが好きな人だったら結構琴線に触れるんじゃないか、とさえ思います。
逆に言うと、こんな単純な手法でも成立し、音楽に聞こえてしまう、というのが凄いことでもあり、当時はテクノ畑の人達を騒然とさせたらしいです。


実際私もそういった超シンプルなテクノミュージック部分を気に入ったわけで、彼のアルバムは当時結構買いあさりました。

しかし、彼の形作る音の世界観は中々にしてマニアックなため、周波数が徐々に高音から低音に移り変わるだけとか、不規則にノイズパターンが展開するとか、音楽スレスレ、というかもはや音楽とは言い難いレベルの物もあるので、やはり紛う事なき音響系の人と言えるでしょう。


しかし、彼のサウンドを理解するにあたり、やはり音楽だけでは不十分であり、映像や、その場の空間自体も込みしなければならない、と言うのは、彼のDVD作品「Formula」を見たときに強くそう感じました。

バックに映像を映し、音とシンクロさせる事で、より音の重要性が増し、単純なパルスやノイズがきちんと意味を持って配列されている事が強調されるように感じました。

実際、彼のライブはこのような形態の物が多く、元々パフォーマンス集団「ダムタイプ」の音楽を担当してる事もあり、舞台のパフォーマンスとバックに流れる映像のフッテージ、さらに音楽をシンクロさせるダムタイプの手法は、現在のRyouji Ikedaの作品と同じであり、その延長線上にあると言って良いです。
これらの映像と音をシンクロさせた彼の作品群は、恐らく入念な計算と意図を元に、緻密に構成されていると思うのですけど、頭の弱い私にはその意図するところは全く理解できないけども(爆)、非常にSFチックかつ、幾何学的な世界観は、個人的に好みなのでツボにはまりまくったわけで、結局音響系と呼ばれるサウンドに皆共通している部分でもあり、だからこそ一時期自分の中でブームになっていたんだろうと思われます。


最近では、映像をプロジェクターで上から投射し、観客の中に直接作品を浴びせる、というインスタレーションなんかも行っていて、なんというか、これはダムタイプで行っていた技法を、そのまま素人の観客を巻き込む形で発展させていった感じで、勝手に思い思いに動き回る観客の影やコントラストも作品の一部になっている、という気がしますね。


こういった作品群をみると、どことなく昔我々がSFなんかに思い描いていた、「なんかよく分からないけど凄い計算をしている」みたいなスーパーコンピュータをひねくれた形で再現しているようにも思え、音楽的にもビジュアル的にも非常に興味深いです。
実際彼のアルバムジャケもトータルコンセプトのように一貫してシンプルかつ幾何学的であり、非常に緻密に計算されたような意図を感じます。だからこそ、当時の私のコレクター心をくすぐったと思うのですが。

ここ最近の彼はRaster-Notonから3部作としてアルバムを出したりしていますが、近年の彼のサウンドは非常に高速かつラウドな感じになってきており、あまり私は好きではありません。
個人的には初期の非常にシンプルなサウンドの方が好みで、前述した「+/-」や「Time And Space」のTime、「0°C」のZERO DEGREES、「Matrix」のディスク2あたりが自分のツボでした。
あと、やはり映像込みの方が絶対彼の世界観が分かりやすいので、DVDの「Formula」が個人的に一番オススメなんですが、絶版なので入手難なのが勿体ない。
そういう意味じゃダムタイプ名義の「Memorandum」なんかはDVDでも出てるし、サウンドも分かりやすい方なのでオススメかと思います。
というか彼の映像作品があんまり出てないのも勿体ない話ですね。

一応彼のアルバムはItunesなんかでも買えるので、興味ある方はそこで買うのが無難ですかな。




今は金銭的に厳しい状況が続いているせいで、中々こうした音響系のサウンドを買うのが難しくなってしまった手前、紹介しときながら、あんまり最近追っかけてないんですよね。
彼の作り出す作品は空間込みで体験してこそなのはやはり音響系のサウンドに共通する所なので、実際に体感しないといけないんですけどね。
元々頻繁に日本でイベントをやってる訳でもないので難しいのですが、機会があっても重度の出不精で絶対出向かなさそうなんだよねー自分(オイ

というか、多分人がごった返しているところに行きたくない、というのが本音なんでしょうな。それが大規模小規模関わらず。
まー自分がこんな不甲斐ない状況なので、この記事で少しでも彼のことを知ってもらって、音響サウンド、音響テクノといった世界に足を踏み入れていただくと幸いです(何様だ)




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2017年03月20日

別の意味で君はひとりじゃない

今回もIGF賞(Independent Game Festival)絡みのゲームをレビューしようと思います。
INSIDEという横スクロール型アクションパズルゲームです。

このゲーム、ノミネートされたものの結局惜しくも大賞は逃してしまったようですが、LIMBOの開発チームの新作と言うことで、かなり話題になったゲームではあります。
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LIMBOはINSIDEと同じく横スクロール型のアクションパズルでしたが、全編にわたってモノクロの色調が非常に印象に残る、ダークな絵本ともいうべき暗い世界が特徴のゲームでした。

やってることは良くあるような2Dアクションパズルなので別段目新しい部分は無かったのですが、ファンタジックな内容と相反して非常にリアリスティックな非情世界が描かれ、そこは極めてインパクトの強いゲームになっていたと思います。これ以降、明らかに影響を受けた亜種ゲームが結構出回ってましたからね。


そして今回のINSIDEです。
実はやってることはほぼLIMBOの時と変わってません。システム面だけ見ると、本当にただグラフィックがリッチになっただけと言っても過言では無いくらい一緒です。
公式に日本語対応しているとはいえ、LIMBOの時と同じく言語依存が全く無いゲームなので、その辺は全く心配はありません。

ストーリーに関しては、前作のダークファンタジーとは違い、かなりSF色が強くなり日常的な世界観に近い雰囲気になりました。
ただ、これもLIMBOの時と同様、あまり詳しい解説や時代背景も説明されないため、より世界観は馴染みのある風景に近くなったとはいえ、どこの、いつの時代なのかもよく分からない設定になってます。


ゲームを始めると、唐突に少年が森の中に現れるところから始まります。少年が主人公、何の説明もないまま始まる、というのもLIMBO精神を受け継いでる感じですね。

非常に奥行きのある立体的なフィールドに見えますが、実際に行き来できるのは左右の2点だけ、つまり2Dアクションゲームなので、操作性はLIMBOと全く一緒、アクションを取ることで物を掴んで運んだりスイッチを押したりする事が出来るのも同じ。
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こうして、パズルを解きながら前にひたすら進んでいくアクションパズルになってます。まあこの辺もいつもの感じで特に目新しいところはありません。
ですが、各キャラクターの動きは繊細かつ緻密で、非常にスムーズに動き、動かしていてとても気持ちがよいです。この辺の感覚はすごくプリンスオブペルシャっぽいところがありますね。


しかし、やはりこのゲームで特筆すべきは、世界観、それに尽きるでしょう。
ゲームをやるとすぐに分かるのですが、主人公の少年、明らかに何かから逃げているようなしぐさをするのです。
そして案の定、序盤で出くわす大人達は、容赦なく少年を追い回し、捕まえようとしてきます。その捕まえ方がえげつなく、もはや生死を問わないようなやり口で来るのでゾッとします。

勿論、何で追われてるのか、仮にも少年である主人公を何故そこまで大人達はつけ狙うのか、何の説明もないのでモヤモヤしますが、そのせいでより一層世界観の不気味さが増している感じです。
少なくとも、この序盤の一連の流れだけで、この世界がいかにデストピアチックで「ただならぬ」状況下にあるか分かってしまうため、そういう点では非常に見事だと思います。
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この辺はうまくゲームとも絡められていて、本当にギリギリのタイミングで敵を巻いたり、見つからないように隠れたりなど、かなりの緊張感が演出されてます。
当然失敗すると即死、あるいは確保されてしまうため、トライアンドエラーで正解を見つけなければなりません。この初見殺しな感じもLIMBO譲りでしょうが、冷静に状況を判断できれば、一発回避も出来るようなデザインにはなっています。でも中々難しいですね。


ゲームを進めていくと、どんどんこの世界の「異常性」というか、「一体なんなんだこれ?」的な疑問点が溢れてきます。この辺を解説してしまうとネタバレに繋がってしまう恐れがあるのであまり詳しく語れないのが残念ですが、後半になると、なんというかもうHalf-LIfeにも通じるような世界観になってきて、SF好きには結構興味深い展開になっていると思います。

ただ、それでも具体的な説明はないので想像するしかありません。でも色々なヒントはあるので、それで補完して、この世界のある意味壮大な時代背景を想像するのがこのゲームの醍醐味のひとつとも言えるでしょう。
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そしてラスト付近の衝撃的展開はあっけにとられる事請け合いで、私も一瞬言葉を失いました。終わり方にはどうしても賛否出てくるでしょうが、総括すると、非常に良くできたゲームで、一気に最後までプレイしてしまうだけの吸引力がこのゲームにはあると思います。凄く続きが気になっちゃう作りになってますからね。

アクションはギリギリのタイミングを要求される場面も多いので割とシビアですが、イライラするようなタイプのアクションは控えめで、トライエラーですぐにコツがつかめるようにはなっている感じです。
初見殺し、あっけなく主人公が死ぬ、結構シビアなアクション、というと、どうしても「アウターワールド」を個人的には連想してしまいますが、実際、本ゲームはアウターワールドの世界観にかなり近い気がします。
両者ともゲーム性が非常に似てるし、セリフも説明もないので想像するしかない、という点も同じですし、絵柄も非常に近い雰囲気を持ってますからね。実際ちょっと意識してるんではないのか、と勘ぐってしまう位なんですが。
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ゲームはだいたい3〜4時間ほどでクリアできるので、短いと言えば短いですが、お値段的には相応といった所でしょうか。個人的には充分なボリュームがあったと思います。これ以上長くなると退屈になってしまう恐れがありますし。
そういう意味では、良い感じで場面展開があり、飽きさせない工夫がされているので、楽しくて一気にプレイしてしまいがちで、それで短く感じてしまうのかもしれませんが。
一応隠し要素があるのでやり込み要素も含まれてますが、とにかく世界観が謎めいてるので、考察がてら2周目をしたくなる感じではありますね。

LIMBOの時と同様、ラストがモヤモヤするのは同じなため、その辺は覚悟の上でプレイしましょう。開発者さんはこういう「どうとでも取れる」感が凄い好きなんでしょうなあ。
それでも、やって損はないゲームには違いありません。非常に斬新なプレイ体験が出来ることは間違いないです。凄くダークでデストピアですが・・・。

INSIDEは現在STEAMにて購入可能です。


実況動画も沢山上がっていて、期待値が高かったゲームであることが伺えます。ただこのゲームの場合、前情報を一切見ないでプレイした方が絶対新鮮度が違うので、プレイ後、他のプレイヤー達は一体どう感じたんだろう?という名目で後で見た方が絶対面白いです。

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ていう訳で、詳しく書くとネタバレになりかねないので、詳しい感想については、この後書きます。当然、この先はプレイした方のみ読み進めるようお願いします。




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2017年03月12日

ダイアン、どうやらまた失踪事件が起きたようだ

またまた間を開けてしまって申し訳ないです。先月は忙しかったので仕方がないです。
で、今回はまたPCゲームのレビュー行きたいと思います。

我がサイトでも過去にIGF(Independent Game Festival)受賞ゲームを度々取り上げたりしてましたが、今回も2017年度のノミネート作品を紹介しようと思います。最近、STEAMにてIGFノミネートのゲームがセール価格で販売されていた事もあり、幾つか購入した経緯があったので。

で今回紹介するのはそんなゲーム「Virginia」です。
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Virginiaというのは、アメリカに実際に存在するヴァージニア州の事を差しているようです。この地で起きたある失踪事件を追う形で展開していくミステリー仕立てのADVです。
同名の映画があるようですが、当然全く無関係です。

さて、IGFと言えば、非常に先駆的、チャレンジングな内容のゲームを選考する事で有名ですが、このVirginiaもその例に漏れず、非常にゲームとしてのジャンル分けが難しいゲームになっています。というか、はたしてこれがゲームなのか、というのも議論の対象になってしまいかねない内容ではあります。

このゲーム、有り難いことに公式に日本語化されているのでその辺の心配はありません。ただし、設定でテキスト翻訳のチェックを入れておかないと、ゲーム中に出てくる書類等の英文が訳されないので注意してください。字幕については、基本的に耳が不自由な方のための物なので、そうでないならここは入れない方が良いです。

ゲームは、FBI捜査官になりたてのアン・トレバーとして、ある事件の捜査に乗り出す事になります。しかし、プレイしていて結構独特なゲームだな、と言うのをすぐに理解できるでしょう。
ストーリー的にはミステリーだというのに、セリフが一切無いからです。
当然あえてセリフを排除しているので、明確に会話しているシーンでも、「なんか話してるんだろう」体で進んでいきます。要するに、全部見た目のアクションや演出で全てを語っているタイプのゲームなわけです。
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ただそれによって明確に伝わらない部分も多々あり、物語としては難解な部類に入ります。現実と虚構が交錯するような不可解な演出も結構あるので、見た目の雰囲気もそうなのですが、ツインピークスやデビットリンチ監督の世界観が良く引き合いに出されていますね。
確かにヴァージニアの片田舎で展開する物語というだけでも結構ツインピークスを彷彿とさせる所があります。音楽とかも結構それを意識しているような所が見られますしね。

また、一応ADVらしい内容ではあるとはいえ、実際にプレイヤーが出来ることは極めて少ないです。アクションを取れる所に対してクリックするだけで、進めるルートは一本道なので別にあちこち歩き回れるわけでもありません。
いわば、アンという主人公を通して一連の物語を追体験していくような内容であるため、見も蓋もないことを言ってしまえば、手法としてはほぼ映画を観ている感覚に近いです。
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この部分が本ゲームの評価を分けている所のひとつです。あらすじやゲーム概要を見ると、一般的なミステリーADVみたいに思えますが、実際には全然そうではありません。IGF受賞のゲームでは度々見られますが、Dear Estherのようにゲームのような手法を用いた、新しい物語の表現手段の作品、と捉えた方が良いかもしれません。

私はもうこの手の作品には慣れているので別段気にならず楽しむことが出来ました。とりあえすデビットリンチのような一筋縄では行かない映画一本を鑑賞するような気持ちでプレイすると丁度良いでしょうね。


この点については結構このゲームで躊躇無く採用されていて、ゲーム自体は一人称視点で展開していくのですが、普通ゲームであればどこか目的地があるのなら、実際にそこまで歩いて向かうのがゲームとしての定石的な手法だと思うのですけど、このゲームの場合、目的地に向かって歩いていると突然場面展開して目的地のシーンに切り替わったりするため、映画的なカット割り手法が大胆に取り入れられている事が分かります。
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具体的な例を挙げると、ブレアウィッチのようなPOV視点の映画にかなり近い手法と言えます。
映画としては非常に初歩的な演出なんですが、ゲームでここまで大胆に取り入れられる例はあまりないように思えます。まあ何故かというと、これをやってしまうと映画手法に限りなく寄ってしまうので、ゲームとしての存在意義を危うくしてしまうからです。
でもこのゲームは「ゲーム然としてなければならない」というような強迫観念にも似た物を一切気にしてない作品なので、こういう事を大胆に取り入れているのでしょう。
Dear Esther以降、こうしたゲームとしてのあり方みたいな物に囚われない作品が増えてきましたね。


さて、物語的には、上司のコート氏に呼び出されたアンは、あるベテラン捜査官のパートナーになるよう任命されます。
このパートナーとなるマリア捜査官が追っている事件が、例の少年失踪事件という事になります。

ここの部分、セリフによる説明が一切無い上に、プレーヤーの意志に関係なくどんどん場面展開していってしまうので、誤解してしまうプレイヤーが多く、非常に注意が必要です。
ネタバレにはならないと思うので書いておきますが、上司から渡された黄色いファイルは内部調査を任命する物で、マリア捜査官の動向に怪しい所があるので探ってこい、というのがパートナーになる真相だと言うことです。
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これを理解しておかないと、その後のアンの行動が不自然に思えるし、事件を追いながらパートナーの過去を洗い出そうとする複雑な物語の構造が理解しずらくなるので、ちゃんと把握しておきましょう。
私の場合、最初テキスト翻訳がオフのままプレイしたため、「あれ、なんかおかしいぞ?」と途中で気付いて最初からやり直すハメになりました。


というわけで、このVirginia、ルーカス少年の失踪事件を主軸に起きながら、実はもう一つマリア捜査官の話が同時に動いているので、ミステリーとしては結構凝っています。この辺の構造もちょっとツインピークスを彷彿とさせる所ですね。
物語の結末も、ツインピークスよろしく結構難解な展開をするので、ここがまたもうひとつ評価の分かれる点でしょう。
とにかく、どこまでが現実で虚構?みたいな描写も結構あるため、あえて分かりにくくしているきらいもあり、結局何が言いたかったのか分からない、という方も多そうですね。

こういった新しい非ゲーム的な内容の作品にも慣れた人でさえ、流石に物語の展開が理解できないとなると「うーん・・」となってしまいますからね。

ただ色々なところで考察はされており、それを読むと、割とそんなに複雑な物語でもないのかもな、という気はしました。
とりあえずそのまま一度体感してみて、そのあと色々考察を読みあさってみてから、再びプレイするとだいぶ印象が変わるかもしれません。
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ちなみに、考察の部分で初めて知った部分で、ネタバレにならないと思うので記しておくべきと思った点があり、それが、不良から押収した財布から出てきた色鮮やかな切手みたいなチップの件。
これ、全く意味が分からなかったのですが、実はこれLSDなんだそうで。
海外の人達には常識なんでしょうが、流石に我々日本人には馴染みが無いので、仕方ないとはいえわかりにくい部分でしたね。
アンがそのLSDに対し行った行動は謎ですが、単純に興味本位でちょろまかしたのかなーと推測。


ゲームは2時間程度で終わるので、本当に映画一本見る感覚に近いですね。これを新しい体験と捉えるか、ゲームとしてはクソゲーとして捉えるかは個人次第な所があります。
私は、映画的手法を大胆に取り入れた本ゲームを極めて楽しむ事が出来ました。当然謎めいた物語を理解できたかというと全然そんな事はありませんが、そういう映画嫌いじゃないので、そういう点も含め、楽しむことが出来ました。
まあゲーム内容以前に、デビットリンチみたいな謎めいた作品は苦手、という方には確かに楽しみにくい作品かもしれません。

ここのサイトの尖ったゲームラインナップを好む人なら、充分楽しめる作品だと思います。
Virginiaは現在Steamにて購入可能です。

あと、ゲーム音楽が秀逸です。インディーゲームでよくぞここまで映画音楽並みのサントラを付けた物だと感心します。サントラ同梱版を買わなかったことを少し後悔。またセールが来たらサントラ買おうかな。
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Virginiaは大賞ノミネートからは惜しくも外れてしまったみたいですが、となると大賞有力候補はどれですかねえ、個人的にはEvent0INSIDE辺りじゃないかと予想してるんですが。
といいつつ、どちらもまだ未プレイなんですけどね(え

INSIDEは購入済みなのでいずれプレイしなきゃですが、Event0は英語が出来ないと難しい上に日本語化もほぼ不可能な内容だから、流石に無理でしょうなあ。SF好きとしては凄く面白そうなんだけど。残念。






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posted by KS(Koumei Satou) at 22:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | PCゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月19日

はーい化け物になるための試験始めまーす

最近多忙につきブログを休みがちで申し訳ないです。
誤りついでにもうひとつ今の内に謝っておきますが、多分来週も更新はお休みになると思います。
まあ仕方がないです。

今は創作活動もゲームもあまりやる時間がない、というか無いわけではないけど疲れて家に帰ったら、後はボーッとして寝るだけみたいなサイクルになりがちなんですよね。

で、その今の状況に合ってるのかどうか知りませんが、サッとやってスッと終わる超お手軽なゲームを今ハマってやってます。
あ、お手軽と言いましたが、訂正します。全然お手軽じゃありませんでした(爆
Devil Daggersというゲーム。
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あえてローポリで作られたグラフィック、説明不要の単純明快なルールと操作性の王道的FPSゲームです。
開発者本人が90年代のオールドスクールなFPSのファンで、その個人的趣味性が超色濃く出たゲームでもあります。

私も当時のFPSはよく知る身ですから、画面をひと目見ただけで、明らかに作った人間が相当なQUAKER(クエーカー)であることは明らかですね。
このゲームは90年代に一世を風靡した撃ちまくりFPSの代表格「QUAKE」からモロに影響を受けたゲームなので、その画面から来るおどろおどろしい雰囲気はまさに初代QUAKEそのものです。




このゲームはとにかく画面上にいる敵という敵をもうひたすらに撃ちまくって撃ちまくってなぎ倒す、という、FPSの根源的部分を純粋に追求しまくった内容になってます。
要するにこれ以上無いくらいにシンプルな内容のゲームで、ゲームスタートで何の説明もないまま即座にフィールドにポイされる程、潔いくらいにザックリしてます。
という訳でこれといって何もストーリーは語られませんが、主人公は何やら神聖なダガーを入手し、アリーナのような狭い場所でひたすら悪魔のようなモンスター達と戦うという流れになっているので、何というか死ぬまで戦いをやらされているような悪夢的状況が目に浮かびます。
それこそDOOMやQuakeで主人公達が辿った道筋に近いわけで、終わり無き戦いの幕開けです。


とにかくゲームがスタートすると、360度あらゆる方向から不気味なガイコツ達が次々襲いかかってくるので、プレーヤーはそれをひたすら撃破あるのみ。
こちらが持っているのはタイトル通りの「ダガー」だけ。別に後半に色々武器が増えたりはしません。
一見なんか血の塊でも飛ばしてるかのように見えますが、よく見るとそのひとつひとつがちゃんとダガーの形をしており、猛烈な速度でそれを連射しているのです。
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マウスボタン長押しで連射、長押しせずクリックするとショットガンのように拡散発射することも可能。この2種類の攻撃法を使ってやりくりするので、かなりミニマムにまとめられていますね。
敵を倒すと赤いジェムを落とすことがあり、攻撃の手を止めると自動的にジェムを取得します。一定数集めるとダガーの連射数が増えて威力が増します。武器は一種類でも、一応パワーアップの要素はあるわけです。



フィールドは闘技場のようなアリーナタイプであり、そこから出ることは許されません。フィールドの端まで行くと奈落の底に落ちてしまうので超危険。
意外とそんなに広くないため、誤って落ちる事故も起きやすいので、ちゃんと自分のポジションを気にしながら敵に対処する必要があります。

で、ゲーム性を見も蓋もない例えで言ってしまうと、Geometry Warsのような戦いのフィールドをFPS視点にしました、って事で要約できてしまうと思います。
主人公にHPの概念はなく、敵に一度でも当たってしまうと即死であるため、もはやFPSというより弾幕シューに近いのではないか、なんて疑念も生まれますが、まあ何と言おうと、まごう事なきFPSゲームでしょうねこれは。

しかし、ひたすら出てくる敵を迎え撃つだけで、画面展開も何も起きない超シンプルな本ゲームがはたして面白いのか?という点においては、

正直私にも分かりません。謎です。


紹介しといてこの結論はどうだって感じですが、要するにこのゲーム、相当にニッチな内容であり、ごく限られたFPSマニアに向けて作られている事は間違いないので、ハナから人を選ぶゲームであることを肝に銘じておくべきです。
しかも、かなりストイックな内容であるため、昔ながらのオールドスクールなFPSに慣れている往年のプレイヤー向け、というのをヒシヒシ感じます。
しかしそういった熟練のプレーヤー全員が手放しで喜べるかどうかって言うとそれも疑問、っていうほど相当に内容的には尖っているわけです。

このゲームが何故にそこまで尖っているのか、その最大の理由はただひとつ。

異常なまでの難易度。

初見のプレーヤーはまず30秒と持たないでしょう。
とにかくあっと言う間にやられる。即死。

このゲームはスコアの概念はあるものの、敵を倒してもそれは一切スコアに反映されません。何故なら「このゲームで何分間生き残れたか」だけしかスコアは見ていないので、単純にプレイ時間=スコアという図式になっているからです。
要するに、ただでさえ生き残るのが難しいゲーム、というのをこのスコアシステムが物語っているのです。
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なんでこんなに難しいのか、というと、敵が出てくるタイミング、つまり登場時間は最初から固定で全て決まっており、例え今居る敵を倒し切れていなくても、時間が来るとお構いなしに次々新手が出現してしまうルールになっているため、敵を倒すのに手こずっているとあっと言う間に画面中が敵で埋め尽くされ、八方塞がりになって積んでしまう、ということなのです。
しかも出現時間は固定でも、フィールドのどこに出るかはランダム性があり固定ではないので完全な覚えゲーにはなっていません。

こんな事態にならないためには、もう単純明快にエイム能力を駆使して瞬時に敵を倒していく、というまさにFPSスキルを存分に発揮するしか手がないわけで、それが出来なきゃプレイする事すら許されないこの感じは、もうFPS界の最右翼に位置してるような気がしますねこのゲーム。

私も昔からFPSはやってきたけど、そんなに得意ってわけでもないし、正直下手くそな方に入るので、まあー生き残れないですね。
とにかくいくらやっても1分すら超えることが出来ない。

ガイコツを大量に生み出すトーテムみたいな敵がまず登場しますが、こいつはほっとくと際限なく敵を生み出すため、弱点の赤いジェムを狙って素早く倒すべきです。しかし、そればかり気を取られてると今度はほったらかしにされたガイコツ達で場が溢れ、衝突事故が起きやすくなるので、こっちも無視できません。
要はとにかく撃ちまくれ、って事です。
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しかし、このゲームはまず40秒〜60秒辺りで最初の山場があり、ここで殆どのプレイヤーが脱落します。

何故かというとここで巨大なクモ型のガイコツが登場するからです。
コイツは落ちたジェムを吸い寄せてしまうので、居る間はジェムを取ることが出来なくなってしまうばかりか、地面を這う子グモの卵を次々生み出し、ほっとくと大変な事になるため、登場した時点でなるべく速攻で倒さねばなりません。しかし厄介なことに、このクモの登場直後、巨大な角付きガイコツが出てくるため、クモに気を取られてるとコイツに体当たりされてジエンドするパターンが本当に多いのです。
この大型角付きガイコツは移動がプレイヤーよりも早いため、近づいてくる音がしたら何はなくともすぐに対処しないと非常に危険。また、撃ち漏らした敵で溢れかえってくるのもだいたいこの辺の時間なので、それで対処しきれなくなる、というのもあります。
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1プレイのゲームが1分未満で終わってしまうゲームってどうなんだそれ、って感じですが、困ったことにプレイ中はこの1分が滅茶苦茶長く感じます。「よし、結構今回は生き延びたぞ!」と思っても意外と1分ちょっとしか経ってなかったり。
とにかく一度のミスも許されないゲームなので、集中力を途方もなく使うため、その分長く感じるのでしょう。
その分どっと疲れて、どのみちそんなに長くはプレイ出来ないって感もありますが。

厄介なことにこの無理ゲー的な所が一種の中毒性に繋がっているように思えます。
理不尽な超絶難易度でやられまくると、「やってられっか!」ってESCキーを叩いてしまうのですけど、しばらくすると、何故かまたやりたくなってくる。
非常に短い時間でサッと出来る、というのもあるし、長い時間生き残れたときは「俺うまくやってるぜ感」が半端無く、そこが快感に繋がってる気がするのですね。

これは以前紹介したiOSアプリの「99Problems」に割と近しい物があると思います。


何度もやられて「ムキー」ってなりつつ、それでもめげずやっているうちに多少コツが分かってきて、ようやく60秒を超えられるように。
しかし一難去ってまた一難、今度は90秒が超えられない。
そもそも、60秒を超えることが出来たからって、その後毎回安定してそのタイムを超えられるわけでなし、相変わらず速攻で死ぬことも多々あり、所詮まぐれで突破したことを痛感します。

それでも時間が空いたときにチマチマやり続けた結果、とうとう150秒の大台を突破!
これは私にしてはよくやった、と言えますね(笑
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とはいえ世の中にはもっと凄腕のプレイヤーが沢山おり、こんな秒数台なんて初心者レベルもいいとこです。
現在のランキングでは、900秒(約15分)を突破している強者どもがおり、超えられない壁がある事を痛感しますね(爆

このゲームが面白いのは、リプレイ機能が充実しており、先ほどプレイした内容をリプレイ出来るのは勿論、自分のハイスコアのプレイ、フレンドのプレイ、はたまたグローバルランキングのトッププレイヤー達のプレイも観閲することが可能になっているので、頂上を極めた強者(化け物?)達の超絶プレイを見て、一体あの修羅場をどうやって切り抜けたのかを見ることが出来るのは、非常に興味深いです。
そして、自分のハイスコアの先に待ちかまえている新手の敵群や、その無理ゲーっぷりを見て驚愕するのですが・・・。

プレイヤーによって攻略の仕方もバラバラで、超絶なテクニックでスマートに敵を倒していく人もいれば、あえて敵を倒さずに貯めまくって、折を見て一気に倒すようなトリッキーな事をしている人もいて面白いです。
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そこでよく見かけたのが、撃ちながら画面を小刻みに揺らしてダガーを散らし撃ちするテクニック。実際、これをやると広範囲をカバーできるんですけど、私がやると画面揺らしたら当然狙える物も狙えないのでテキトーに撃ってるだけになるのですが(爆。
これみんな狙って撃ってるんだろうか・・・。

またリプレイ中にMキーを押すと2Dの見下ろし視点になり、自分がどういう動きをしていたのかが丸わかりで、私のようなプレイヤーは「いかにダメであるか」が露呈するので複雑です(爆


こうして、ほぼ化け物の域に達した達人達のプレイを横でチラ見しつつ、無謀な挑戦を「どういう訳か」定期的にやりたくなってしまうと言う謎の多い本ゲーム。
私の場合、150秒の大台をいくらやっても超えられないので、これが限界かもしれず、いよいよ潮時か、って思うのだけど、気付いたらまたやってそうで怖いんですよね。

まあそんな訳で(どんな訳だ)、人を選ぶゲームなのは間違いありません。見た目も90年代ポリゴンゲーム風で独特ですし、FPSゲーマーの中でも、かなり狭い範囲に特化したゲームだと思うし、私自身もどこまで本当に自分がこのゲームを面白いと思えているのか疑問に思ってしまうほど尖った内容ですので。
まあシンプルな内容故に値段も手頃ですので、FPSが好きな方なら試す価値はあると思います。ひたすら地獄ですが・・・。

Devil Daggersは現在STEAMで購入可能です。
丁度今、半額セールで更に安いので、買うなら今の内ですよ。

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ところで、撃っている弾が即着弾する一般的な銃タイプではなく、高速で発射されているとはいえ着弾するまである程度時間がかかるようなランチャー系の挙動タイプなので、普段FPSにやり慣れている人でも、馴染めずに苦戦する、という話もあります。実際、QUAKEで言うところのネイルガンに相当する武器なので、開発者はこのネイルガンの使い手だったんでしょうか。

でもこのゲームのストイックさからすると、普段のやり方と違うから俺には無理、と言ったところで言い訳にしか聞こえず、
「単純にお前のFPS能力が臨機応変に対応できてないだけだろが」とゲーム自身が突き放して言い放ちそうな雰囲気バリバリなんですよね・・・。
私は「へイヘイそうでございやーす」と開始数秒で悟りましたが(爆

何度も言うけど私はFPSは好きで良くやるけど、FPSは得意じゃないんで、マジで・・・。






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posted by KS(Koumei Satou) at 22:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | PCゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月29日

要は荒療治ってことなんだろうか

Nevermindというゲームをプレイしクリアしたので、今回はこの話をしようと思います。

Nevermindは一人称視点のアドベンチャーゲームで、他人の思考の中にダイブする、というちょっと変わった設定が特徴になっています。
プレイヤーは精神科医となり、思考ダイブが可能となる技術を用いて、精神的に問題を抱えている患者の深層心理にアクセスし、問題の原因となっているトラウマを解き明かして治療に役立てるのが目的です。
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という訳でゲームの舞台は誰かの頭の中、という今までにないテ−マを扱っていますが、この手の「人間の妄想や悪夢」を具現化した世界というのは、度々ゲームでは表現されてきたジャンルですので、言うほど珍しいわけではありません。

映画に目を向ければ、「セル」や「パプリカ」など、似たような設定を持った作品は既に存在していますし、実はこの手の「捜査・治療目的で頭の中を探る」というテーマを扱った映画は割と昔からボチボチあったりするんですよね。
昔、B級映画で本ゲームと殆ど同じ設定を持った映画を見たような記憶がありますけど、タイトルは流石に忘れちゃいました。まあ要するに、映画や小説では割と馴染みの設定だったわけです。

とはいえ、治療目的で悪夢を彷徨い、トラウマの原因を探る、という明確な目的があるゲームは久々なので、内容的にも気になってたタイトルでした。
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しかし、他のゲームに興味が移り、中々本タイトルをプレイする事が出来ず長い間積み状態が続きました。ふと思い出したように最近やり始めて、一気に解いてしまいましたが。
ちなみに公式に日本語化されていて、訳も不自然ではないので、この辺の心配はありません。ただ、設定のサウンドで字幕がオンになっているかどうかは確認しておきましょう。


設定的に医者が主人公なので、そういった施設が舞台となり、患者のカルテを選択して、その人物の精神世界にダイブして探索する、という流れになります。
最初はチュートリアルも兼ねた模擬シュミレーションで、仕事の流れを体感する体で一人の患者の頭の中を彷徨います。

チュ−トリアルでは親切丁寧に説明が入るので、迷うことはあまりないと思いますが、要約すると記憶の断片を表す「写真」を10枚集めるのが本ゲームの大まかな攻略となります。
この写真はあちこちに落ちてるのでこれをもれなく拾い集めなくてはなりません。取り損ねるとそもそも前に進めないので、写真を求めて広いフィールドを行ったり来たりする必要はあまりない設計になってます。
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写真を集める過程で患者の深層心理の情景を次々垣間見ることになるわけですが、まあ問題を抱えた人達ばかりなので、決して美しい情景ばかりとは限りません。いやむしろカオスで不気味な情景の方が多いので、このゲームがホラーゲームとして紹介される理由の一つになってますが、どちらかというと精神的にじわじわ来るタイプのホラーですので、脅かし要素は他のゲームと比べてもかなり控えめです。まあそれが主な目的のゲームでは無いですからね。

10枚写真を集めると、いよいよトラウマの原因を探る段階に入ります。
集めた写真の中には今回の事例とは無関係な写真も含まれているため、関係ありそうな5枚の写真を選んで、物語に沿って正しい順番で並べなくてはなりません。
これが非常に難儀なパズルになってます。
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今まで自分が彷徨ってきた深層心理の世界を思い出し、一体そこで何が語られ、表現されてきたかを分析して、推理する必要があります。
関係ない物を省くだけでも大変ですが、厄介なのは正しい順番で並べることで、写真はある意味、文章の断片でもあるので、見てきた物から推測して「きっとこういう事を言いたかったんだろう」という予想を元に物語を完成させなばならないわけです。

見事正解を導き出せば、深層心理から脱出し、クリアとなります。トラウマを紐解き、患者はそれと向き合うことで治療に役立てるわけです。プレイヤーが担うのはココまでで、後は患者自身が各自社会復帰に向けて頑張っていく流れみたいですね。

とまあ、このように、シュールかつ妄想的な世界観を堪能しつつ、意味を推理しながら進めていく謎解き型アドベンチャーといった感じのゲームで、もっと言ってしまうと雰囲気ゲーにかなり近い内容でもあるでしょう。


担当する患者は地位のある人からホームレスなど様々で、各人によって当然抱えている問題もバラバラです。
最初に入ることになる患者#251は非常に分かりやすいトラウマを抱えているので、見た目にも結構なインパクトのある悪夢空間を彷徨うことになります。
視線恐怖症(他人の視線が気になる、見られているような気がする)を象徴するいやーなビジョンが次々登場するので、結構な不気味さです。
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ただ、この不気味さというのが、「怖い」といよりかは「気持ち悪い」という方にシフトしている感じがするので、お化け屋敷やホラー映画を観ているような感覚とは若干趣が違う気がするんですよね。
どちらかというと、地方なんかにたまにある「何をコンセプトにしているのかよく分からないアミューズメント施設」に入って、なんだか複雑な気持ちになるような違和感に近い、といった所でしょうか。例えば、秘宝館とか、あの辺のカオスっぷりと違和感が割と近い感覚なのかなあと。

そういう意味では、あまり他のゲームでは見られない世界観を体感出来るという意味では、結構特殊な雰囲気ゲーと評する事も出来ますね。


ただ問題なのは、やはり最後の写真並べですかねえ。これは私は結構苦労しました。
ちゃんと彷徨った世界の意味を考えて、それを当てはめていけばそんなに難しくはないのかもしれませんが、もともとそんなに直接的な表現ばかりでもないですし、ヒントも多いわけでもないですし、そもそも「多分言いたかったのはこういうこと」の時点で推測が間違っていると袋小路に入って全く正解に近づけません。
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実際私もその時点で間違っていたため何十回とリトライを繰り返し、もうわけわかんなくなって、適当に並べ替えたら正解になってしまい、「そういう話だったのかよ!」ってなった事がありましたので・・・。
間違える度に少しずつ関係ない写真が消えていくので簡単にはなっていくのですが、正解の5枚だけになってもなお、私は手こずってしまいましたからね。
私って結構こういうの読み解くの苦手なのかもしれないなあ。他人なら常識的に考えるところを何か勝手にねじ曲げて変な風に解釈してしまうきらいがあるのかな。

それと、先の患者になるに従い、フィールド内におけるパズル要素がどんどん難儀な物になってくるため、この辺でも苦労するかもしれません。
患者#440のピアニスト編では、色んな楽器を操作するパズルが出てきましたけど、ヒントがわけ分からなすぎて、もう面倒くさいから総当たりで正解を叩き出すという凄い不本意な解き方をしてしまいました。うーん要するにあんまりパズル要素が楽しくなかったんですよね。


現時点で模擬+4人の患者分のエピソードが公開されています。これからも追加されて行くかどうかは分かりませんが、とりあえずそこそこのボリュームはある感じですね。それとは関係なく、一種のブレイクのような、癒し空間も複数用意されてますけど。
まああと1、2エピソードくらいは欲しいというのが正直なところでしょうか。

ただ個人的に感じた問題として、最初に解く事になる患者#251のケースが見た目やストーリー的にも一番インパクトがある印象で、後は先に進むに従いどんどん地味な世界観になっていってしまってる感が非常に勿体ない。
自由な順番で遊べるようにした方が良かったのかもしれないけど、エピ毎に難易度も若干違うし、悩ましいところですね。
個人的には患者#251のケースに匹敵するインパクト強めのエピソード追加を切望したいところですが。
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あと、根本的な問題として、このゲームは心拍数センサーという特殊デバイスに対応しており、基本的にそれを使用していることが前提となっているゲームデザインって事ですね。
このデバイスによってプレイヤーの心拍数を計り、緊張や恐怖を感じたら、それに合わせてリアルタイムでゲーム内容に反映させていく、という試みが成されているようです。、
勿論、そんな物を持ってなくとも全く問題なくプレイ出来るのですが、当然それがないとこのゲームの魅力がそれなりに減算されてしまうのは確かなので、何だかんだで残念なポイントですね。まあ面白い試みですが、正直このゲームの為にそんなマニアックなデバイスを買う気には流石に・・。
一応WEBカメラかApple Watchがあればそれなりに代用が効くそうです。んーでも私はWEBカメラすら持ってなかった(爆)


トータル的には面白かったけど、苦労も多かったのでオススメ度としてはそんなに高くはないのが本音ですが、奇っ怪なアミューズメントを覗いた時のような、あの変な気持ちを体感するのは中々新鮮なので、雰囲気ゲー好きにはそれなりにオススメです。
Nevermindは現在STEAMで購入可能です。
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そういや私も重度のトゥレット障害等、色々患ってるんで、結構精神的に色々問題を抱えている人間なんですよね。
幼少の頃より発症して以来、これといった改善策が見いだせないままずっと苦しんでるので、正直このゲームみたいに、頭の中を探ってもらって、障害の原因を好き止めて欲しいですね、マジで・・・。
そういう意味じゃ、トラウマの理由が分からないゲーム内の患者達の気持ちは良く分かります。色々要因はあったろうと推測は出来るものの、直接的な原因自体は全く心当たりが無いからなあ。
ま、精神的問題で発症してるとは限らないですけどね、この病の場合。

あーそうか、私がこのゲームで随分苦労したのは、やっぱり私がある部分ではどこか病んでるので、正しい判断が出来てないからなのかなー、などと勘ぐってみたり。






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posted by KS(Koumei Satou) at 22:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | PCゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする